【カローラ・スポーツと比較】マツダ3 2.0(4) 似て非なるハッチバック 長期テスト
公開 : 2020.05.24 07:20
ハイブリッド技術の経験が光るトヨタ
筆者の場合、結果も異なる。市街地の走行距離は短く、往復130km近い距離を高速道路や流れの早い道を中心に走行する。
カローラ・スポーツと3とを互い違いに乗り換えてみたが、まったく違うものだった。マツダ3の方がデザインの洗練度では上だと思うが、カローラ・スポーツも、先代のオーリスと比べれば明らかに魅力的になった。
トヨタのインテリアは、知覚品質の水準を高めているが、マツダの知的に練られた扱いやすいレイアウトの方が筆者は優位だと感じる。スタイリッシュでソリッドな雰囲気も良い。インフォテインメント・システムも、カローラの方が少し安っぽく使いにくい。
マツダの電圧48Vによるマイルド・ハイブリッドは、当然のことながら、エンジンをオフにすらできるトヨタ製ハイブリッドには敵わない。マツダ3も、信号などで停止直前になれば、エンジンが休止するけれど。
カローラ・スポーツの場合、走り出して数分間後にエンジンが温まってしまえば、積極的にエンジンは休止する。オフィスから高速道路の入り口まで、8kmほどの距離を試したが、90%はエンジンが停まっていた。
高速道路に乗ると、エンジンは基本的に回ったままになるものの、マツダ3と比べると3.5km/L以上は燃費で優れていた。
トヨタの長所と、マツダの長所
走行性能も、想像以上に活発なカローラ・スポーツ。低速からの加速は、マツダ3より力強く感じるくらい。電気モーターのアシストと、シフトチェンジがないためだろう。
一方でドライバーとの一体感では、マツダ3が別次元にある。トルクがやや細いエンジンを、6速MTを駆使して走らせる体験は、より充足感が高い。
カローラ・スポーツのステアリングフィールも驚くほど自然でダイレクト。反面、スイッチのようなブレーキの感覚と、柔らかいサスペンションの組み合わせで、速度域を上げた時の自信は湧きにくい。
並べてみると、カローラ・スポーツと3は、頭で乗るクルマと心で乗るクルマ、という比較の典型にあることがわかる。
トヨタの方が都市部での走りは優位。車内は広々して、乗り心地は比較的滑らか。雰囲気は控えめだ。一方のマツダは劣る部分があるものの、クルマの放つ魅力とドライバーが得られる共感が、筆者を強く惹きつけるのだった。
テストデータ
気に入っているトコロ
高級感のある車内:この価格帯で最も優れた、造形美と機能性とのブレンドを持っている。
気に入らないトコロ
平均的な燃費:トヨタ・カローラ・スポーツの燃費には驚かされる。マツダ3は、ライバルのターボガソリン・ユニットよりわずかに優れる程度だ。
テスト車について
モデル名:マツダ3 2.0 180PS GTスポーツ(英国仕様)
新車価格:2万6675ポンド(381万円)
テスト車の価格:2万7545ポンド(393万円)
テストの記録
燃費:15.1km/L
故障:なし
出費:なし