【どうしたプリウス?】販売減速の原因はどこに? 気になるコロナ後 次期5代目プリウスの影
公開 : 2020.05.25 05:50 更新 : 2021.01.28 18:21
4代目トヨタ・プリウスの使命とは?
「ヨコテン」とはトヨタ内用語で、1つの技術やサービスを他の分野や企業に水平方向(横)に展開することを指す。
プリウスで培ったモータ―、駆動用電池、インバーターなどの制御装置の技術は、アクア/カローラ/RAV4、レクサス各モデルなどトヨタの売れ筋商品で応用されている。
さらに言えば、競合他社にも電動化シフトという流れで大きな影響を与えている。
ホンダの場合、各種ハイブリッド機構のエンジニアは「ハイブリッドについてトヨタの特許がとても多く、企画段階で断念した案がいくつかある」とプリウスが切り開いてきたトヨタハイブリッドシステムの壁の存在を認めている。
また日産の場合、「トヨタがハイブリッドなら、日産はもっと先のEVで勝負する」(2000年代後半の日産幹部)という意気込みでリーフ量産に踏み切り、その経験がeパワーを生んだ。
さらに、トヨタは2019年4月、ハイブリッド車開発で培ったモーター等の電動化技術の特許実施権を無償で提供すると発表。
今年5月の2020年3月期決算発表時に、2024年から2025年に約50万台の契約があることを明らかにした。
特許実施権は無償だが、部品や技術提供は有料である。
トヨタとしては、ハイブリッド技術のヨコテン役としてのプリウスは使命をしっかりと果たしていると見ているに違いない。
次期5代目プリウスはどうなるのか?
以上のように、仮に4代目プリウスの販売台数がこのまま、ある程度の水準まで落ちたとしても、トヨタとしてはトヨタハイブリッド全体の需要が増えることが有益だと考えるはずだ。
とはいえ、販売現場ではそうした大局に立った考え方では事業が成り立たない。
特に、今年5月からは正式に、トヨタ全系統での全店舗全車種併売が始まったばかり。定番商品プリウスへの期待は高い。
トヨタ国内営業としても様々な形で販売店を支援し、また販売各店も独自の営業努力を繰り広げるはずだ。
最後にもう1点。フルモデルチェンジについてだ。
初代は6年間、2代目は8年間、3代目は6年間かけてそれぞれ生産・販売した。仮に4代目が6年間とすると、5代目登場は来年2021年末となる。
しかし現時点でトヨタ周辺から5代目に関する事実に基づく噂は聞こえてこない。
一方で、こんな話がある……。
4代目が登場して間もない頃、4代目開発担当者らとの意見交換で「5代目のイメージ」を聞いてみた。
その答えは「実際、社内でも議論することがある。個人的には、モデル名を含めて、これまでのプリウスとはまったく違ったクルマになってもおかしくはないと思う」というものだった。
モデルライフの中期から後期に入ったとみられる、4代目プリウス。
今後の国内販売の動向に注目していきたい。