【すべてがハイブリッドに】ボルボXC90へ試乗 2.0Lガソリン+マイルドHV
公開 : 2020.05.22 10:20
優しいスカンジナビアン・デザインの車内
試乗したモーメンタム・グレードの場合、エアサスペンションは選べない。通常のダンパーとコイルの組み合わせとなるが、ほとんどの路面で乗り心地は上質だった。車内へ明確に振動が伝わるのは、特に舗装の荒れた郊外の一般道程度だ。
XC90は、ハイペースでコーナーを抜けるタイプのクルマではない。実際に試してみると、ステアリングの感触にやや乏しく、頻繁ではないが、トランスミッションの反応も鈍い印象があった。
ちなみにモーメンタム・グレードには、シフトパドルが付かない。センターコンソールのシフトレバーでマニュアル操作も可能ではあるが、強く動機づけられる機会は少ないだろう。
そのかわり、優しさのあるスカンジナビアン・デザインを楽しむ方が良い。車内は明るく、エントリーグレードであっても装備は充実している。
メーターパネルはモニター式となり、ダッシュボードの中央には、インフォテインメントシステム用の9.0インチ縦型タッチモニターが配される。だが筆者は、モニターに多くの機能を集約しすぎていると感じた。
ライバルのシステムと比べれば、エアコンの操作などは上手に統合されている。しかし、温度調整だけでも、進行方向から視線をそらす必要は残る。
ボルボはアダプティブ・クルーズコントロールを、パイロット・アシストと呼ぶ。半自律運転と呼ぶには少し大げさに思えるが、車線維持の制御は、ライバルのシステムと比較して明らかに優れている。
マイルドHVを選ぶならディーゼル版
ボルボXC90に限らず、これまで大柄なSUVボディと控えめなガソリンエンジンの組み合わせが、素晴らしいコンビネーションとなることはなかった。そこへ穏やかなマイルド・ハイブリッドが追加されても、効果的と呼べるほどの結果は得られていない。
装備も充実し、快適なファミリー・トランスポーターというボルボXC90の特徴は変わらない。しかし、B5のガソリンエンジン版の場合、長期的な経済面での恩恵は得にくいだろう。
同じXC90 B5でもディーゼルエンジン版なら、車両価格はガソリン版と同等で、燃費は向上し、CO2の排出量も削減できる。プラグイン・ハイブリッド版のボルボXC90を選べないのなら、同じマイルド・ハイブリッドでも、ディーゼル版を選んでおきたいところだ。
ボルボXC90 B5 モーメンタム・プロ(英国仕様)のスペック
価格:5万5560ポンド(738万円)
全長:4953mm
全幅:1923mm
全高:1776mm
最高速度:215km/h
0-100km/h加速:7.7秒
燃費:11.8km/L
CO2排出量:191g/km
乾燥重量:2049kg
パワートレイン:直列4気筒1969ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:251ps/5400-5700rpm
最大トルク:35.6kg-m/1800-4800rpm
ギアボックス:8速オートマティック