【世界最高モデルの最有力】ベントレー・フライングスパー 6.0L W12気筒 後編
公開 : 2020.05.25 10:20
贅沢で洗練されているだけでなく、際立つ走行性能も兼ね備えたフライングスパー。世界で最高のクルマと表現したくなる内容だと、英国編集部は評価します。昨年初めのモナコに続き、英国の道でじっくりと評価しました。
筋肉質で新鮮なボディデザイン
新しいベントレー・フライングスパーのスタイリングは、ステファン・セイラフが率いる、英国クルーのデザインスタジオによるもの。先代以上の素晴らしい優雅さを漂わせている。プラットフォーム開発段階からの協力により、ボディのプロポーション自体が理想的なものになっている。
フロントタイヤは、先代比で152mmほど前方に移された。フロント・オーバーハングを短縮し、デザインを美しくまとめているだけでなく、ハンドリングも向上させている。
加えて、うねるように筋肉質なボディの面構成が、新しいフライングスパーの見た目に強い新鮮味を生んでいる。内に秘めたパワーを、身体で表現しているかのようだ。
今回の試乗車は初期の特別仕様で、3万7000ポンド(492万円)のファースト・エディション・パッケージが付いている。ベントレーで選びたい、ほとんどのオプション装備が盛り込まれている。
回転式のダッシュボード・モニターほのか、縦横無尽に選べるカーペットとトリム、ステッチ、照明、エンブレムにステアリングホイール。クルーのスタジオや大都市のディーラーで、1日は掛けて悩めるだろう。
そうしてコーディネートされたフライングスパーは、世界で最もラグジュアリーな空間となる。最上級のレザーで覆われた車内には、まばゆい金属製パーツが散りばめられる。もちろん、金属に見える部分は、ちゃんと金属だ。
クリーミーでスムーズなW12エンジン
ラグジュアリーな自動車ブランドは少なくないが、ベントレーはその筆頭の1社であることもうなずける。インテリアの組み合わせは無数に存在し、1台の車内を体験しただけで説明しきることは、不可能ではないだろうか。
新しいフライングスパーには、ベントレーのSUV、ベンテイガに採用された6.0LのツインターボW12気筒エンジンが搭載される。最高出力は635ps。ベントレーでは初となるツインクラッチ8速ATを介して、四輪を駆動する。
エンジンは、かつては遠くから唸り声が響いてきたものだが、いまでは常に静かでクリーミーといえるほどスムーズ。排気量の割には、経済的でもある。試乗時の燃費は、7.7km/Lから8.8km/Lの間となっていた。
再設計を受けたことでエンジン内部のバランスが向上し、インダクション・システムも改良された。ダイレクト式と非ダイレクト式の燃料噴射システムを併用することで、粘り強さと燃費を両立させているのだろう。
実際に運転してみると、エンジンからのサウンドや振動は、ほとんど感取できない。ベントレーのもう1つのユニット、エキゾーストからエネルギッシュなサウンドを響かせるV8エンジンとは、異なる性格だ。
メルセデス・ベンツやBMWはライバル視するだろうが、ボディーサイズや価格でベントレー・フライングスパーと並ぶライバルはほとんどない。