【売る場所が違う】スバルと三菱 コロナ禍で業績に明暗 コロナ後の方針も、はっきり異なる
公開 : 2020.05.23 05:50 更新 : 2020.05.24 09:51
三菱、販売減少は世界各地域に及ぶ
三菱の2020年3月期決算は厳しい内容だった。
販売台数は前期比9%減の112万7000台。売上高は同10%減の2兆2703億円。営業利益は89%減の128億円で純利益では258億円の赤字となった。赤字となるのは3期ぶりだ。
販売減少は世界各地域に及んでいる。
グローバル販売で4分の1を占めるアセアン(東南アジア)で、同9%減。アセアンからの輸出に頼るオーストラリア・ニュージーランドが同14%減、中国が同12%減、北米が同8%減、欧州が同9%減、そして日本が同10%減となった。
三菱は2000年代中盤以降、アセアンシフト戦略を明確化。海外のマザー工場ともいえるタイの生産拠点を中核に、インドネシアとフィリピンそれぞれでの生産と販売を強化してきた。
なかでも人口が世界第四位(約2億6400万人)のインドネシアでは、3列シートのMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)市場が大きい。
三菱は「エクスパンダークロス」を投入し、タイ、フィリピン、ベトナムのMPVセグメントで販売トップとなった。
今回の赤字転落からの回復に向けた「選択と集中」。固定費を2015年水準で20%以上削減。アセアン市場へのさらなる投資し、商品ラインナップの根本的な見直しに着手する。
そうなると、日本市場ではアウトランダーはPHEV含めたフルモデルチェンジが期待されるも、噂のEV版SUVで「エボリューション」復活の芽は消えたか?
スバルと三菱、進む道は大きな違いが
2020年3月期決算で、明暗がわかれたスバルと三菱。
だが、コロナ後を見据えた2021年3月期は、2社ともに先行きは不透明な情勢だ。
アメリカ市場偏重のスバルは、4月以降で「6割の販売店がなんらかの影響を受けている」(スバル中村知美社長)という。
現時点(5月22日)でアメリカ全州で段階に経済活動は再開されているが、自動車販売の回復は極めて緩やかだ。
当面、フォレスターとアセントが販売を支え続けなければならない。
また、中期的にはEV共同開発など、トヨタとの技術連携がどう進むかが、次世代スバルの方向性を大きく左右するだろう。
一方の三菱は、アセアン最優先を強化しつつ、ルノー・日産との連携を再構築する可能性がある。カギとなるのは、厳しい経営環境に追い込まれている日産の「選択と集中」だ。
日本市場では当面、軽自動車事業が軸足。日産との合弁企業NMKVによる、製造元としてのさらなる収益向上を見込む。
スバルと三菱、コロナ後も進む道は大きな違いが出てきそうだ。