【5.2L V12か2.0L 直4か】ジャガーXJ-Sとロータス・エリート 1970年代のGT 前編
公開 : 2020.06.06 07:20 更新 : 2020.12.08 11:04
毎日の足としていたXJ-S
ジャガーXJ-Sは、1981年に高効率版のHEを追加し、延命されている。赤や白、黄といった派手なボディカラーにクラシックなGKN製アルミホイールを履き、シンプルなインテリア。初期のXJ-Sは、1つの様式を生み出した。
最もコレクターの注目が高いのは、HE追加前に352台が特別注文で作られた、初期型のマニュアル車。気持ちの熱いXJ-Sオーナーの、スポーツカーに対する欲求も満たしてくれる。
初期のボルグワーナー製ATは、289psのV12エンジンとの相性も良くなかった。当時の試乗テストで貸し出されたXJ-Sのほとんどが、MT車である理由も偶然ではないのだろう。その後、GM製のGM400と呼ばれるATへ変更され、質感はずっと良くなっている。
今回のXJ-Sは、筆者の過去の愛車でもある。1978年製で、コッツウォルド・イエローのボディには、極めて珍しいサンルーフも付いている。レアなMT車だが、それほど運転は楽しくなかった記憶がある。
現在のオーナーは、エイドリアン・マッセイ。XJのスペシャリスト、キース・パーティントン社のレストアを受け、筆者の時よりずっと良い状態だ。MTのXJ-Sをレストアするなら、まず4速マニュアルのリビルトがカギとなる。
マッセイは、エンジンが不調になるまで、毎日のようにこのXJ-Sへ乗っていたという。「冷却系が故障し、ヘッドガスケットが吹き飛んだのをきっかけに、フル・リビルドを決意しました。キース社へ持ち込むと、冷却システムで機能していた部分はほぼないとわかりました」
この続きは後編にて。