【詳細データテスト】ランボルギーニ・ウラカン 発進加速以外はRWDに軍配 日常遣いも苦痛なし

公開 : 2020.05.31 10:20

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

このクルマは、ウラカンとしてはじめての後輪駆動モデルではない。2018年のマイナーチェンジでエヴォのサブネームを得る以前、2016年に登場したLP580−2が最初のMRバージョンだ。

一見したところ、大きく変わったようには思えない。1389kgという重量はLP580-2と同一で、4WDバージョンとの重量差が33kgというのも変わらない。これはフロントとセンターのディファレンシャル、フロントのドライブシャフトを装備しないことによるものだ。

前任のLP580-2と重量は同じだが、エンジン出力は高められた。そのV10は、ウラカン・ペルフォルマンテ用ユニットがベースだ。
前任のLP580-2と重量は同じだが、エンジン出力は高められた。そのV10は、ウラカン・ペルフォルマンテ用ユニットがベースだ。

稲妻のごとき速さのシフトチェンジをみせるデュアルクラッチ式トランスミッションはグラツィアーノ製で、エンジン後方にマウント。305セクションのピレリPゼロへは、機械式LSDを介して駆動力が伝送される。

ドライサンプの90°V10はウラカン・ペルフォルマンテのユニットがベースだが、最高出力は640psから610psへ、最大トルクは61.2kg-mから57.1kg-mへデチューンしている。それでも、ノンターボエンジンとしては信頼性の限界ギリギリまで攻めたチューニングだ。

バルブはチタン素材で、アルミ素材のLP580-2用より軽量化。また、新型の吸気マニフォールドや、排気抵抗の少ないエグゾーストも加わりより万全に。量産エンジンとしてはもっともレスポンスに優れ、甘美に回るもののひとつだといえる。

その他の部分の変更はわずかだ。サスペンションはほかのウラカンと同じく、前後ダブルウィッシュボーン。パッシブダンパーが標準装備で、磁性流体ダンパーがオプション設定される。

RWDではスタビライザーやスプリングがソフトになり、軽くなったフロントではそれがとくに顕著だ。相対的にリアのほうが硬くなるセッティングは、ハンドリングがより楽しいものになるバランス。これは歓迎すべき点だ。

ブレーキはウラカン・エヴォの4WDモデルでは標準装備であるカーボンセラミックディスクから、直径を縮小した鋳鉄ディスクへ変更。シャシーの電子制御デバイスであるLDVIは、RWDでは省かれた。これはエヴォで新採用されたシステムで、トルクベクタリングや速度感応式の可変ギア比ステアリング、アジリティと高速安定性をともに高める後輪操舵を組み合わせたものだ。

ウラカンのエントリーモデルは全体的にシンプルさを追求しており、おそらくはより無駄のない仕様を目指した結果、こういった内容になったのだろう。

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