【なぜ?】ルノー生産拠点の閉鎖 報道が増えた背景 アルピーヌの工場、生き残ると考えるワケ
公開 : 2020.05.27 19:27 更新 : 2021.10.09 23:32
工場閉鎖の話題が報じられた背景
クロチルド・デルボスは財務部トップ兼任の一時的な社長で、元副社長のティエリー・ボロレが降ろされた昨年10月より現職。
生粋の財務エキスパートである彼女のルノー入りは2012年。グループ会長のジャン=ドミニク・スナールより先。
だが、それ以前に国際的な製鉄グループに在籍時、上司の財務ディレクターは他でもないスナールだった。
そのスナールの招きで、7月からはセアトからイタリア人の新社長ルカ・デ・メオが就任するのは既定路線だ。
ミラノのボッコーニ大学で経営学を修め、若い頃にトヨタ勤務を経験し、フィアットで故セルジオ・マルキオンネの下で新型フィアット500の立ち上げやアルファロメオで辣腕を奮った。
VWグループ移籍後はアウディやセアトで実績を残した彼は、カーガイであるといわれる。
以上を鑑みると、財務のプロがやるべき仕事を遂行した、という爪痕を残しつつ、グループ会長の意を汲んで、新社長に警告めいた強いトーンで課題を示した、そう解釈できる。
同時にフランス政府と労働組合、地元の政治家らといったステークホルダー全員を、話し合いのテーブルにつかざるをえなくした、というウルトラCでもある。
それは新社長を歓迎しないとか妨害するといったニュアンスではない。
スナールとデルボスのホットライン連携からイタリア人新社長にとんでもなく難しいパスが渡った、といえる。
ようは引き当てた融資の使い途が、ルノーにとっては問題なのだ。