【最大の違いが】なぜレクサスGSは、メルセデス・ベンツEクラスに負けて撤退するのか?
公開 : 2020.06.01 05:50 更新 : 2021.10.22 10:15
メルセデスEクラスという存在
レクサスGSのライバル車は、メルセデス・ベンツEクラス、BMW 5シリーズ、アウディA6になる。これらの車種に比べて、GSは存在感が乏しい。
まずメルセデス・ベンツEクラスは、130年以上にわたる同ブランドの伝統を受け継ぐ基幹車種だ。
今のメルセデス・ベンツは、Aクラスなどコンパクトな車種やSUVを膨大にそろえてブランドの性格が曖昧になったが、かつては車種を絞って高級路線を明確に表現していた。
乗用車は今のメルセデス・ベンツEクラスに繋がる標準モデル、上級のSクラス、スポーツカーのSLのみであった。
そして1980年代にCクラスの前身となる190シリーズが登場する前は、Eクラスに繋がる標準モデルがコンパクト・メルセデスと呼ばれて親しまれた。
いわばメルセデス・ベンツEクラスはトヨタのクラウンのような求心力的な存在なのである。Cクラス以上に大切だ。
アウディも今はモデル数を増やしたが、以前はシンプルだった。
1960年代にアウディはフォルクスワーゲンの傘下に入り、1968年に発売されたのが、フォルクスワーゲン&アウディ・グループの最上級車種になるアウディ100だ。
BMWはどうか?
アウディ/BMWとレクサスの違い
アウディ100が今のA6に繋がる。
当時のドイツ車は各ブランドの守備範囲が明確で、今のEクラスに相当するコンパクト・メルセデスと、アウディの上級モデルになる100が同等のサイズだった。
そしてメルセデス・ベンツではこの上にSクラスがあり、アウディは100の下に80(今日のA4)を用意する。アウディ100はブランドを代表する存在だった。
BMWは大雑把にいえば、1960年代のBMW 1500から2002の4気筒シリーズが今の3シリーズに発展する。6気筒の2500や2800が5シリーズに繋がる。
以上のようにメルセデス・ベンツEクラス、アウディA6、BMW 5シリーズは、ブランドを確立する過程で大切な役割を果たした。
対するレクサスは、ブランドの創立自体が1989年と新しい。
初代モデルの発売も、LS(発売当時の日本名はセルシオ)とES(カムリプロミネント)が1989年、GS(アリスト)は1993年、IS(アルテッツァ)は1999年だから全般的に歴史が浅い。
しかもGSは、後輪駆動のLSとISの間に挟まれている。ほぼ同じサイズで前輪駆動のESも高人気だから、レクサスの中にも競争相手が多かった。
しかもEクラス、A6、5シリーズのような歴史もないから販売面で埋もれてしまった。