【北米仕様に試乗、といえるのか?】トヨタ GRスープラ グランツーリスモで試乗
公開 : 2020.06.03 10:20 更新 : 2021.03.05 18:45
コントロール性に優れる2021年モデル
現行のGRスープラから2021年モデルへ乗り換えてすぐに気づくのは、エンジンの活発さ。レブカウンターをはね上がる、針のスピードが違う。
3.0Lエンジンが5800rpmで発生する最高出力は387psで、従来より14%の増強。レブリミッターは、5000rpmから6500rpmの間ではなく、6500rpmに設定されている。
最大トルクもわずかに増えている。50.3kg-m/1600-4500rpmから、50.7kg-m/1800-5000rpmへと発生回転数も広がった。この違いは感じ取ることができるはず。
グランツーリスモ・スポーツで知った限り、サウンドは同じ。滑らかでワクワクさせてくれる。実際のスープラでも、似たようなサウンドを響かせる。オーバーラン時の破裂音は、実車では聞いたことがない。
路面の平滑さに欠けるサーキットでは、2021年モデルのスープラの方が、先代よりコントロール性に優れている。ボディロールは小さく、路面の起伏や凹凸を越えても姿勢制御が良く、ライン取りしやすい。
姿勢制御がタイトということは、重心移動も小さく、ブレーキを引きずりながらコーナーへ入っていける。フロントタイヤへ過度に荷重を掛けてしまったり、アンダーステアへも陥りにくい。
現行のGRスープラではフロントタイヤを上手に使って、重心移動が適切でないと、オーバーステアが早めに出る傾向があった。
乗り心地やステア・フィールは分からない
一方でタイトなシャシー設定を得た2021年モデルのスープラでは、初期のアンダーステアもオーバーステアも、上手に抑え込まれているようだ。減速時のLSDのロックアップ・レートが高く、安定性が増していることも影響しているだろう。
しかし、まだドリフトはする。400ps近いパワーを持った、ターボエンジンの後輪駆動モデルだ。その時の、細かなコントロール性も良くなった。
総合して現行のスープラより、スポーティ度が上がっている。一方で、同等のミドシップ・スポーツほど機敏ではない。
コーナー進入時の、ブレーキングやステアリングの操作も容易なようだ。オーバーステアの発生も穏やかで、コーナーの頂点手前からアクセルペダルを踏んでも、姿勢が崩れにくくなっている。
この変化が、乗り心地に及ぼす影響は未知数。筆者がテレビの前に据えた古いレーシングカートのシートは、スープラを乗り換えても、快適性に一切の変化を及ぼさなかった。もちろん、他のモデルに乗り換えても。
ステアリング・フィールも、違いがわからなかった。たとえ最高のシミュレーターであっても、実際のクルマとはフィーリングが異なるのだから仕方ないだろう。
グランツーリスモ・スポーツで乗り比べた限り、ハンドリングの変化は感じ取ることができた。充分に価値のある体験だったと思う。このゲームが、正確に2021年モデルの北米向けGRスープラを再現していると願いたい。