【アルファード/ヴェルファイア】予防安全性能評価大賞に どれくらい、すごいこと? JNCAPとは
公開 : 2020.06.03 05:50 更新 : 2021.01.28 17:22
試験は大きく2分野 事故後と事故前
アセスメントの試験は、大きく2つの分野がある。
「事故後」と「事故前」だ。
「事故後」とは、事故が起こってしまった時(衝突時)の安全性だ。自動車どうしの衝突、自動車とガードレールや壁など外部の物との衝突、また自動車と歩行者や自転車などとの衝突。
万が一、こうした状況に陥ってしまっても、事故に関係した人の身体への影響を可能な限り軽減する。これが、衝突安全性能の考え方だ。
そもそも、JNCAPが1995年度から導入された際、自動車の前面が壁に真正面から衝突する、フルラップ前面衝突を開始。
その後、99年に側面衝突試験、2000年に自動車の前面が対向車などと位置がずれて衝突する、オフセット前面衝突試験を導入。
2001年にチャイルドシート、2003年に歩行者頭部保護性能、2008年にサイドカーテンエアバックなどと、衝突時における様々なシチュエーションでの検証を進めてきた。
評価には、ダミー人形を用い、ダミー人形が受けた衝撃力などを数値化し、各試験毎での得点表にあてはめ、総合得点によって星印の数で性能を示している。5つ星が、衝突安全性能での最高ランクとなる。
では、自動車の安全性評価でもうひとつの領域、「事故前」とは、具体的にどういう試験を行うのか?
近年、「事故前」での評価で自動車メーカー間で競争が激しくなっている。
「事故前」 2010年代に技術革新加速
「事故前」とは、予防安全性能のことだ。
いわゆる、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)は、日本ではスバルがステレオカメラ採用のアイサイトで「ぶつからないクルマ」というテレビCMなどを始めたことで消費者の間で認知度が高まった。
また、高齢ドライバーの事故が社会問題となる中、予防安全装置は軽自動車から高級車まで新型車の必須アイテムになっていった。
JNCAPでは2014年に、対車両の衝突被害軽減ブレーキ、2016年から昼間の対歩行者・2018年から夜間(街灯あり)の対歩行者、さらに2019年には夜間(街灯なし)の対歩行者での衝撃被害軽減ブレーキの試験が導入された。
各項目での試験結果が得点なり、総合点数でASV(先進的安全車)として+の数で評価される。
こうした中、トヨタとしては2018年から予防安全装置「トヨタ・セーフティ・センス」を第二世代に引き上げ、また後付けのアクセルとブレーキ踏み間違い装置の積極的な市場導入を進めており、今回のJNCAPでの受賞はこうした開発と普及活動を裏付けるものだ。
ただ、近年は予防安全技術用のカメラを通じた周辺状況の把握と、車両やユーザーの基礎データとを紐づけた新たなるビジネスへと広がりを見せており、トヨタとしては通信インフラや半導体の事業者などとの、さらなる連携が進む可能性がある。