【フラット4なポルシェたち】ポルシェ912と914、912E 見直される価値 後編

公開 : 2020.06.14 16:50  更新 : 2020.12.08 11:04

先入観を捨てて、美しいポルシェに乗る

「912Eを出先の駐車場に停めていた時、ぶつけられたと友人が駆け寄ってきました。912Eは1mくらい枠からずれていましたが、大きな傷はありませんでした。アウディA1は、大きな凹みが付いてましたが」

投資家やポルシェの愛好家の間では、フラット4を積んだクラシックの価値が上昇している。一方、AUTOCARの編集者の中には、手放したことに悔している人がいる。クルマへの情熱や先見性が足りなかったのかもしれない。

オレンジのポルシェ914 1.7と青のポルシェ912、マルーンのポルシェ912E
オレンジのポルシェ914 1.7と青のポルシェ912、マルーンのポルシェ912E

このフラット4トリオの中で、最も手が届きやすい位置にいるのは、914だろう。グレイストンが手に入れたような値段では、もはや912のオーナーになることは難しい。状態の良いクルマなら、近年は911と変わらない資金が必要となっている。

今回のオーナーは3名とも、投資目的で手に入れたわけではない。乗るためだ。「ガレージの女王」という表現がしばしば用いられるが、クルマは走っている姿の方が何倍も美しい。

この3台の中で、1台を選ぶなら。ポルシェに何を求めるかによって変わってくる。

最も純粋なルックスを求めるなら、912が良い。郊外の道を軽快に飛ばすなら、914だろう。モダンな快適性を備えた扱いやすい相棒が良ければ、912Eが希望に沿う。

356を熱望していて、初期の911にも夢見ているような筆者の場合、その2台とのつながりを持つ912を選びたい。それでも、フラット6にこだわるファンなら、選択肢に入ることすらないかもしれない。

偏った考え方は、一晩で消えるものではない。追加費用で、希望通りのクラシック・ポルシェを買うのも良いだろう。だがこの3台を見たのなら、そんな先入観は誤解である可能性を否定できないと思う。

ポルシェ912と914、912Eのスペック

ポルシェ912(1965年−1969年)のスペック

価格:新車時 2467ポンド(32万円)/現在 6万ポンド(798万円)以下
生産台数:2万8333台
全長:4163mm
全幅:1610mm
全高:1320mm
最高速度:185km/h
0-96km/h加速:13.5秒
燃費:11.6km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:970kg
パワートレイン:水平対向4気筒1582cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:91ps/5800rpm
最大トルク:12.4kg-m/3500rpm
ギアボックス:4速マニュアル

ポルシェ914 1.7(1969年−1976年)のスペック

価格:新車時 2261ポンド(30万円)/現在 3万ポンド(399万円)以下
生産台数:11万8978台
全長:3985mm
全幅:1650mm
全高:1220mm
最高速度:177km/h
0-96km/h加速:11.0秒
燃費:9.2km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:899kg
パワートレイン:水平対向4気筒1679cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:86ps/4900rpm
最大トルク:15.0kg-m/2900rpm
ギアボックス:5速マニュアル

ポルシェ912E(1975年−1976年)のスペック

青のポルシェ912、マルーンのポルシェ912E
青のポルシェ912、マルーンのポルシェ912E

価格:新車時 1万1940ドル(129万円)/現在 4万ポンド(532万円)以下
生産台数:2099台
全長:4291mm
全幅:1610mm
全高:1340mm
最高速度:181km/h
0-96km/h加速:10.1秒
燃費:11.6km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:1160kg
パワートレイン:水平対向4気筒1971cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:87ps/4900rpm
最大トルク:12.8kg-m/4000rpm
ギアボックス:5速マニュアル

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