【悩ましい8代目の変化】フォルクスワーゲン・ゴルフ1.5 TSIへ英国試乗 前編
公開 : 2020.06.07 10:20
デジタル化が一気に進んだダッシュボード
代々フォルクスワーゲン・ゴルフを乗り継いできた経験豊かなドライバーは、デジタル化が一気に進んだダッシュボードをどう受け止めるだろうか。簡単に押せるボタンの数は少ない。メーターパネルは、全面モニター式になった。
このインテリアの違いは、先代との差別化を図っている部分でもある。デジタルに対して、アレルギーを持っている人もいるかもしれない。ただし、タッチモニターが並ぶインテリアは、筆者好みだ。
サンルーフの開閉からヒーターの温度を下げるまで、すべてをタッチモニターで操作するテスラのデザインとは違う。使いやすさは、慎重に検討が重ねられたことが伺える。フォルクスワーゲンのゴルフが強みにしてきた馴染み深い部分も、わずかには残っている。
エアコンの温度とオーディオの音量という、頻繁に操作する機能へのインターフェイスとして、専用のタッチセンサーが用意されている。これが使いやすい。
特に音量の調整は、タッチセンサーを左右にスワイプするだけ。モニターからメニューを掘り下げる必要はない。
タッチモニター式のインフォテインメント・システムも、使用頻度や重要度の高いメニュー項目は、モニター下部に用意されたショートカットボタンから簡単にアクセスできる。ホーム画面からナビへの切り替えも、一発で済む。
コストの制限を感じさせる車内
モニター式のデジタルメーターは、表示は鮮明でレイアウトの変更が可能。過度に画面を混雑させることなく、必要な情報を追加することができる。
スマートフォンのワイヤレス充電機能と、アップ・コネクトと呼ばれるコネクテッド機能も、英国では標準装備。エントリーグレードの試乗車にも搭載されていた。
ソーシャルメディア時代のスマートフォン世代は、恐らくこのクルマを気に入るだろう。最初は馴染めない人でも、社会の変化とともに、慣れていくはず。
ゴルフが備えてきた、インテリアのスマートで肉厚な素材感や小物入れの処理、内装パネルのフィッティングなどは、気分を良くしてくれるものだった。だが、今回のゴルフでは充分な予算は回されていないようだ。
先述の、デジタル技術へコストが投入されたのだろう。ドアを閉めた時の音は重みを感じにくいし、インテリアトリムも、もっと費用を投じることができたはず。
ただし、メルセデス・ベンツAクラスやアウディA3など、プレミアム・ブランドのハッチバックと比べれば、知覚品質で劣るという程度。本来のフォルクスワーゲンの位置を考えれば、妥当だろう。
車内空間と荷室容量は、ブランドを問わず充分な競争力を持っている。このクラスで最も実用性が秀でているわけではないが、8代目ゴルフのパッケージングは素晴らしい。
確認はこれくらいにして、後編では英国の一般道へ出てみよう。