【どうして?】スーパーセブンの記事があると、つい読んでしまう心理 ほかのクルマにない個性

公開 : 2020.06.07 05:50  更新 : 2021.10.09 22:36

似たような手法で誕生したモデルも

ロータスはセブンの製造権を1970年代前半に同じくイギリスのケータハム社に譲渡している。今日新車で買うことができるセブンといえばロータスの血筋を引き継いだケータハム・セブンがその代表なのである。

だが構造がシンプルで飛び切り速いセブンはいつの時代も一部のマニアを熱狂させる存在であり、その結果として似たような手法で誕生したモデルが数多く登場した。

光岡ゼロワン(1994〜2000年)
光岡ゼロワン(1994〜2000年)    光岡

南アフリカのバーキン、ニュージーランドのフレイザー、オランダのドンカーブート、イギリスのウェストフィールド、そして日本の光岡自動車も1994年にロータス・セブンによく似た「ゼロワン」を販売し話題となった。

どっちが本物だ! こっちの方がクオリティが高い! といった論争はあるようだが、ニア・セブンと呼ばれるこれらのモデルに共通するのは、ドライブしてみれば「人生観が変わるくらい刺激的」ということ。

ドライビングポジションは手を伸ばせば地面に触れられるほど低く、ギアボックスは当然のようにマニュアル、サービス精神旺盛なサイド出しマフラーのおかげで4気筒でも威勢のいい排気音を響かせることができる。

そして何より車重が軽いので、体感加速だけでなく実際の加速も速いし、身のこなしも超がつくほどクイック。

車重500kgほどというのは、最新のスープラの3分の1の重さなのである。

229万円でF1に乗る夢を実現!

60年以上も生き長らえてきたセブンは、現在でも新車が手に入る。

一方、長年作り続けられてきたセブンなので、中古車にだって売り物がある。

2013年のケータハム・セブンと、1980年代のモデルを比較したデータ。
2013年のケータハム・セブンと、1980年代のモデルを比較したデータ。    AUTOCAR

中古車サイトを覗いてみると今現在は41台のケータハム・セブンが売られており、最安の個体は229万円となっていた。

クルマ好きの人生観がたったの229万円で変わるのであれば、これほど安い買い物はない?

家族の反対を押し切り、近所の好奇の目に晒されつつ、晴れてセブン・オーナーになった方にも、これからそうなるかもしれない方にも、ウィキペディアにも書かれていないとっておきのトリビアをプレゼントしよう。

スーパーセブンはかつて本当のF1グランプリに出場した経歴を持つ、れっきとしたF1マシンの末裔でもあるのだ。

1962年の南アフリカGPにロータス・セブンがエントリーし、11位で完走した記録が残されているのである。

古のF1マシンを現代の公道でドライブできるという奇跡のようなストーリー。その主人公気分に浸ることも、スーパーセブンのオーナーにだけ許された特権なのである。

近頃にわかに脚光浴びつつあるスーパーセブンだが、その歴史が知れ渡ればさらに盛り上がってもおかしくない逸材なのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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