【環境性能と動力性能を両立】メルセデス・ベンツGLA 250e PHEVへ試乗
公開 : 2020.06.09 10:20
エコでパワフル 運転はかなり楽しい
発進時からトルクは太く、瞬発力は鋭い。車重はエンジン版のGLAより増えているのにも関わらず、電気モーターの上限となる140km/hまで、元気あふれる加速が楽しめる。
あり余る瞬発力は、しばしばフロントタイヤのトラクションを失わせる。2019年に試乗したA 250eでも同様だったが、交差点やきついコーナーからの立ち上がりで闇雲に加速させると、ホイールスピンが発生。スタビリティコントロールが介入してしまう。
ハイブリッドのスポーツ・モードでは、ガソリンエンジンと電気モーターが協働し、強力なパフォーマンスを生み出す。0-100km/h加速を7.1秒でこなし、最高速度は220km/hに達するという。
一般道の運転はかなり楽しい。力強いトルクで、高いギアのまま力強く加速できる柔軟性も備える。エンジンが低回転域でもモーターが加勢し、かなりの勢いがある。
トランスミッションは燃費優先で、できるだけ高い段数を選ぶようにプログラムされている。もちろん、PHEVとして燃費を最大限に伸ばすには、バッテリーを事前に充電しておくことが重要だ。
乗り心地は、バッテリーなどの追加で約150kg増えた車重が影響している。路面が剥がれた穴などを通過すると、垂直方向の揺れが明らかに大きい。
リアサスペンションは、AクラスなどのPHEV版と共通してトーションビーム式。スプリングとダンパーは引き締められており、姿勢制御は充分に優れている。電動パワーステアリングの動作も、操舵感はダイレクトで好印象だった。
エンジニアリングの実直さを感じる
バッテリーの充電口は、右リアに用意された。AC電源で最大7.4kW、DC電源で24kWまでの容量に対応する。充電時間は、AC電源で最短1時間45分、DC電源で25分となっている。
バッテリーの搭載に合わせて、ガソリンタンクは44Lへ小さくなった。荷室は、エンジン版のGLAとほとんど変わらない容量が確保される。
開発車両ということで、GLA 250eの試乗時間は限られていた。それでも、第一印象はとてもポジティブ。EVモードでの走行も、ハイブリッドでの走行も、とても力強いものだった。
街なかを穏やかに流す場面でも、郊外の開けた道でも、複雑なドライブトレインの仕上がりは感心する水準にある。熟考された、エンジニアリングの実直さも感じることができたと思う。
乗り心地だけを見れば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン版のGLAほどの落ち着きはないかもしれない。しかし、自家用車で通勤するドライバーの多くは、電気の力だけで自宅からの往復が可能となる。それだけでも、検討に値するだろう。
メルセデス・ベンツGLA 250e EQパワー・プロトタイプ(欧州仕様)のスペック
価格:未定
全長:4410mm
全幅:1834mm
全高:1616mm
最高速度:220km/h
0-100km/h加速:7.1秒
燃費:55.5-62.5km/L
CO2排出量:38-42g/km
乾燥重量:−
パワートレイン:直列4気筒1332ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:15.6kWh
最高出力:218ps(システム総合)
最大トルク:45.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック