【変わらないという強み】アウディRS5スポーツバックへ試乗 450psのクワトロ
公開 : 2020.06.10 10:20
掴みやすい動的性能のキャラクター
見た目の変化は小さい。マイナーチェンジ後のRS5だとわかりやすく主張したいなら、ターボ・ブルーかタンゴ・レッドの、追加された新色を選ぶのが良いだろう。
ラジエーターグリルの位置はやや低くなり、形はワイドになった。バンパーのエアインテークの形状も新しくなり、リアではディフューザーとテールライトも新デザインとなっている。
グループB時代のラリーマシン、クワトロから影響を受けたスタイリングだと主張するアウディ。筆者のアイコン的な存在でもある、かつてのRS2に塗られていたノガロ・ブルーが選べないのが残念だ。
アウディRS5がどんな走りを披露するのかは、ある程度予想ができる。ドライブ・モードを切り替えても、比較的シンプルで、挙動の予想も付きやすい。ドイツの高性能マシンとしては、珍しくなりつつある。
RS6のように、アクティブ四輪操舵システムは付かない。車高調整が可能なエアサスでもないし、アクティブ・アンチロールバーも備わらない。
おかげで、RS5の動的性能のキャラクターは掴みやすい。コーナリング時の挙動は予測しやすく、運転にも自信が持てる。といっても、単純というわけではない。
トランスミッションの設定には3段階があり、全体的なドライブ・モードの選択肢も3種類がある。さらにドライバーが個別に登録できるRSモードが2つ用意されている。
安全性が高次元で確保されたオンロード走行
RS5のドライバーなら、パワーステアリングの重さやダンパーの硬さ、トランスミッション、デフ、スタビリティ・コントロールの効きなど、個別の設定を変更してみたくなるはず。好みの設定が見つかったら、RSモードに保存すれば良い。
設定を探っていくと、適度な重さとレシオのステアリングを持ち、秀逸な正確性を備えた好みのRS5へ仕上げられる。しなやかで、引き締められた姿勢制御も素晴らしい。
過度に機敏な設定は、RS5には似合わない。爆発するような個性も、テールを派手に振り回す仕草も、このクルマの性格とは少し違う。
一体感のある操縦性という面では、RS5はさほど上位には入らない。それでも優れた実用性とラグジュアリーさを持ち、高い次元で安全性が確保されたオンロード走行を楽しめる。条件が許せば、かなりの速度域で。
フェイスリフトに合わせて、エグゾーストノートにもわずかに手が加えられた。やはりRS5を走らせるなら、しっかりエンジンは回したい。聴覚面でも楽しませてくれる。
V6ツインターボは、ライバルモデルほど常時太いトルクを発揮するわけではない。アクセルレスポンスは、4000rpmを超えるまでは少し柔らかく感じられる。
たくましさが一気に増すのは、4000rpm以上。7000rpmまで爽快に吹け上がる。低い段数での加速も鋭い。馬鹿げていると感じるほどではないけれど。