【制限速度内で味わえる感動】スズキ・スイフト・スポーツ(3) 長期テスト

公開 : 2020.06.13 11:50

歴代で初めて、ターボエンジンを搭載した新型スズキ・スイフト・スポーツ。クラス・ベストのライバルと競える、運転が楽しくシンプルなホットハッチという個性を受け継いでいるのか、長期テストで英国編集部が確認します。

積算5740km テールゲートのボタン

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)/Tom Morgan(トム・モーガン
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
英国仕様のスイフト・スポーツのテールゲートには、ボタンが2つ付いている。1つは、もちろん、テールゲートを開くためのもの。その隣のボタンは、不明だった。マニュアルを見れば解決できる疑問ではあったのだけれど。

だが偶然に気がついた。ポケットに鍵を入れたままの状態で、他のドアを解錠することなく、テールゲートのロックを解除して開けるためのボタンだった。

スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)
スズキスイフト・スポーツ(英国仕様)

前回のレポートから、かなりの間が空いてしまったことをお詫びしたい。

積算6522km 6速MTは少し曖昧な感触

先代のスズキ・スイフト・スポーツは、スモールカーとして英国でも高い支持を集めてきた。英国編集部スタッフからの注目も少なくない。筆者は長期テストの主担当に選ばれ、これまで6500kmを超える距離のほとんどを運転してきた。

この走行距離は、ロンドンの街を横断する通勤ルートのために、交差点までの発信と停止で重ねられてきたようなもの。変速フィーリング以外、明確な印象を得ることができずにいた。

スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)
スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)

ステアリングはレスポンスに優れる。青信号の発進の度に、エンジンは穏やかなアクセル操作でも意欲的に速度を乗せる。少し曖昧な感触のある6速MTとは、ちょっと相性が悪いと思う。

スイフトのスポーツ的な側面を体験するには、適したルートが必要だ。そこで、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの会場までの、ワクワクするようなドライブを設定した。果たして、スイフト・スポーツは期待通りだった。

制限速度内で味わえる感動

1.4Lのターボエンジンはレッドゾーンまで引っ張らず、早めの変速でも充分なエネルギーを提供してくれる。とても印象に残ったのが、そのパワー発生の感触。

中回転域で太いトルクをターボチャージャーが生み出し、筆者の意図通りにスイフト・スポーツの速度を乗せていける。この体験は、低めの速度域でもとても満足感が高い。

スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)
スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)

ハイパワーなホットハッチの場合、一般道の制限速度以下では、秘めた力を引き出すことは難しい。ちなみに英国では、郊外の片側1車線の道路では、特に標識がなければ96km/hが制限速度。スイフト・スポーツなら、その速度域で不満ない感動が味わえる。

とても小さなボディとは裏腹に、ステアリングホイールは不自然に重い。それでも、コーナーの続く道でのスイフト・スポーツは水を得た魚だ。

一回り大きくパワーのあるホットハッチに引けを取らないスピードで、コーナーへ飛び込めるだけの高いグリップ力もある。扱いやすく、手に余るパワーでアンダーステアに陥ることもない。

ひとしきり楽しんで、グッドウッド・フェスティバルの会場に到着した。駐車場は、高価なクルマでいっぱいだったが、アグレッシブなデザインと無視するには難しい派手なチャンピオン・イエローのボディは、沢山の注目を集めた。

4日間ほどキャンプ場に停めていたら、ホコリまみれになってしまったが。

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