【詳細データテスト】 BMW M8 サーキットでは秀逸 公道では乗り心地に改善の余地あり
公開 : 2020.06.14 08:50
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
BMWの大型モデル、5/7/8シリーズはプラットフォームを共有する。どれもエンジンはフロント縦置きで、後輪駆動もしくは四輪駆動だ。
そのうち、今回のM8だけでなく、ファミリーカーとしても使えるスーパーセダンであるM5にも、600ps級のエンジンが搭載される。BMW最強の出力を扱うのに、デフォルトで装備されるのが四輪駆動というのは、もっともな話だ。
M5の4WDシステムと4.4LのV8ツインターボ、そしてATギアボックスは、スペックもそのままにM8へ流用された。最高出力は625psを6000rpmで、最大トルクの76.5kg-mは、1800-5860rpmの広い範囲で発生する。
メルセデスAMGのV8ツインターボと同じく、ふたつのターボチャージャーが左右シリンダーのバンクに配置された、俗にいうホットVレイアウトを採用する。これにより排気の供給が早くなり、レスポンスが向上するのだ。
また、ターボをエンジンの側面に置かずに済むため幅を狭められ、それに伴って搭載高も下げられるので、パッケージング面でも有利だ。もっとも、エンジン自体の重心高は上がってしまうが。
たしかに、ドライブトレインは同じで、サスペンションもほぼ共通している。だからといって、M8をM5の2ドアバージョンだとするのは正確ではない。
ホイールベースは201mm短く、全高は10mm低い。また、アンダーボディの補強ブレースが、M5より増している。フロントサブフレームの補強プレートはサイドシルにまで拡げられ、リアにも同様の処置が施される。さらに、リアトレッドはM5より38mm拡幅された。
BMWによれば、こうしたさまざまな変更が相まって、アクティブロールコントロールや後輪操舵システムといった、大型で重量のかさむクルマには使われることの少なくないデバイスが不要になったという。M8は全長4867mm、車重1885kgと、大きく重いクルマであるにもかかわらずだ。