【詳細データテスト】 BMW M8 サーキットでは秀逸 公道では乗り心地に改善の余地あり
公開 : 2020.06.14 08:50
走り ★★★★★★★★★☆
このM8の走らせ方には、驚くほどさまざまな選択肢が用意されている。それを成立させる要因のひとつに、驚くべきパフォーマンスがあることはいうまでもない。
長引くCOVID-19の影響で、われわれはまともなパフォーマンス計測ができずにいるが、BMWのテスト結果がほかに見劣りすることは滅多にない。M8コンペティションの0-100km/h加速タイムは、3.2秒と公称されている。
ここで、M5のテストデータを振り返ってみよう。パワーや重量は同等で、やや空気抵抗の大きいM5のそれは、参考になるはずだ。
われわれの計測では、0-97km/hが3.3秒、0-161km/hが7.5秒。0-400mはタイムが11.5秒で、到達速度が201.2km/h、0-1000mは20.8秒と255.9km/hだった。
今回のM8ならば、いずれにおいても、より優秀なスコアをマークするはずだ。テストしたM5がコンペティション仕様ではなく600psの標準仕様だったことと、路面が湿った当時のコンディションを考慮すればなおさらである。
今回は叶わなかった英国内でのサーキット走行だが、以前にこのクルマの発売時と動画撮影の際に経験済みだ。そのパフォーマンスは、数字から予想したものとはまったく異なっていた。
間違いなく、遅く感じることだけは絶対にない。しかし、M8は特筆すべき速さのわりに、緻密さやソフトさがある。外柔内剛、とでもいえばいいだろうか。
ターボラグはまったく感じられず、デュアルクラッチではなくトルクコンバーター式ATを選択した8速ギアボックスはスムースで心地よい変速をみせる。サウンドは、スピーカーからの人工音が添加されてさえ、この手のクルマとしては控えめな部類に入る。
テスト車は2万ポンド(約280万円)のオプションとなるアルティメットパッケージ装着車で、カーボンセラミックブレーキを装備する。これはサーキットでの極限的な酷使に耐えつつも、低速でのペダルフィールも上々だ。Mドライバーズパッケージならば、このブレーキが備わるだけでなく、スピードリミッターの作動速度が250km/hから306km/hへ引き上げられる。