【詳細データテスト】 BMW M8 サーキットでは秀逸 公道では乗り心地に改善の余地あり

公開 : 2020.06.14 08:50

操舵/快適性 ★★★★★★★☆☆☆

先月、英国編集部ではさまざまなスポーツモデルのテスト結果を一堂に集めて、ちょうどいい塩梅のドライバーズカーについての考察を行った。そして、その中でも911カレラSがピュアスポーツ寄りの最右翼だとすれば、対極のピュアGT寄りにあるのはベントレー・コンチネンタルGTということになるだろう。

今回のM8はまさにその中庸なのではないかと考えるところだ。ライバルがそれぞれ激辛と激甘なら、M8はマイルドな中辛なのではないかと予想するだろう。

サーキットでは、その巨体をスポーツカーのごとく制御してみせるM8だが、公道上で使う機会が多くを占めるGTカーであるのだから、その限界性能を削ってでも乗り心地を改善してもらいたい。
サーキットでは、その巨体をスポーツカーのごとく制御してみせるM8だが、公道上で使う機会が多くを占めるGTカーであるのだから、その限界性能を削ってでも乗り心地を改善してもらいたい。

そうかもしれない。だが、おそらくそうではない。このクルマにはスポーツカー的な基礎がある。ロールは小さく、ステアリングは精密だ。

サーキットでは、5m級のGTカーの典型的な使い方には不要だが、コンペティションの名にはふさわしく、きわめてすばらしい仕事をやってのける。

その巨体を感じさせず、ハードにプッシュすればするほどより鋭いレスポンスを返してくれる。後輪駆動モードが使えるうちは、マッスルカーのように扱える。四輪駆動モードであっても、限界域やそれをちょっと超えるまでは、かなり後輪優勢に感じられる。

しかし、1885kgの、ISOFIXチャイルドシートも装着できる4シーターが主戦場とするはずの公道上では、まだまだ改善の余地がある。ロードノイズはそこそこあるし、突然の上下動では驚くほどのまったくうれしくない硬さをみせる。とくに、英国の荒れた路面ではそれが顕著だ。

公道上では、極限域での車両重量をカバーする能力は目立たないが、もともと必要性が低いシチュエーションでもある。それならいっそ、柔軟な追従性のほうを高めてもらいたいところだ。

結局のところ、ライバルたちと乗り比べたら、ベントレーだけでなくポルシェにも乗り心地で後れを取るということになる。コンチネンタルGTに比べ、豪勢さで勝てないとしても、それは予想の範疇だ。しかし、1日で数百km走るようなロングドライブの相棒として、M8より911を選びたくなるというのは、理解しがたい結論である。

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