【思わず楽しくなる開放感】フォルクスワーゲンTロック・カブリオレへ試乗
公開 : 2020.06.14 10:20
大胆なコンセプトを実現した、クロスオーバーのTロック・カブリオレ。フォルクスワーゲンらしく作り込みは良いものの、運動性能や実用性の部分では、やはりクローズドボディに及びません。英国編集部が評価しました。
もくじ
ークロスオーバーとカブリオレという組合せ
ー増えた車重と低められた実用性
ー穏やかにクルージングするのが良い
ー今の時代だからこそ楽しさが際立つ
ーフォルクスワーゲンTロック・カブリオレ 1.5 TSI エボRライン(英国仕様)のスペック
クロスオーバーとカブリオレという組合せ
クロスオーバーとコンバーチブルという組み合わせの、フォルクスワーゲンTロック・カブリオレ。構成として、うまくいくとは思いにくい。好みも分かれると思う。
運動性能に制限が生じる、車高の高いSUV。そのボディから、金属製のルーフとドア2枚が除かれている。車体の強度を確保するために補強され、車重は増加。実用性も下がらざるを得ない。
フォルクスワーゲンは、陽光に照らされ心地良い風になびく髪と、大空への自由を思い描いたのだろう。だが、クルマ好きからは、困惑の目で見られてしまう。
AUTOCARを熱心に読んでくださる方の場合、興味を持たない割合も多そうだ。しかしSUVの流行の中で、無数のクロスオーバーが発表されている。恐らく少なくない人が、このカブリオレに興味を持つはず。
理屈っぽい考えは置いておいて、ひと目見たTロック・カブリオレからは、かなり良い印象を受ける。複数層のファブリック製ルーフを閉じれば、端正なTロックのスタイリングを、ほぼそのまま維持している。
ルーフがないことよりも大きな違いは、通常5ドアのボディが3ドアとなること。リアドアの2枚を削りながら、全長は34mm延長。ホイールベースも37mm伸ばされている。
増えた車重と低められた実用性
金属製のルーフが消え、失われたボディ剛性を取り戻すべく、ドアやアンダーボディなど見えない部分にさまざまな補強が施されている。その結果、Tロック・カブリオレの車重は通常のTロックと比較して200kgも増えた。
インテリアは、通常のTロックやフォルクスワーゲン製モデルに乗り慣れている人なら、いつもの光景。上質な雰囲気でまとめられ、タッチモニターは手の届きやすい位置にレイアウトされる。操作系の配置もすぐに馴染める。
今回の試乗車は、Rラインということでワンランク上級な仕立て。レザーシートにつや消しの金属製装飾パネルなど、一層高級感あるコーディネートになっていた。
運転席に座ってステアリングを握ると、ドライビングポジションが変化しているように感じる。フロントガラスが大きく寝かされ、ガラス上部のフレームの位置は少し低い。ソフトトップを閉じたままだと、車内の広々とした雰囲気は減り、若干の閉鎖感すらある。
リアシートに座る大人なら、その違いはもっと明確。フロント側のドアから乗り込むことになる。荷室も削られた。ソフトトップを収納する空間が確保される影響で、445Lから284Lへ小さくなっている。
リアハッチの開口部も狭く、荷物の出し入れは少ししにくい。リアシートを倒して荷室へアクセスすることも可能で、長尺のモノを積み込む際は役に立つだろう。