穏やかにクルージングするのが良い

ソフトトップは、ボタンを押せば12秒でボディ後端に格納される。ウエストラインが高く、囲まれた感じのする車内を一気に開放的にしてくれる。

走り出すと、ソフトトップの上下に関わらず、増加した重量の影響を感じる。搭載するエンジンは、1.5Lのターボガソリン。最高出力は150psで、最大トルクは25.3kg-mだ。

通常のTロックと比較すると、同等の動的性能を導き出すために、エンジンはより多く回転する必要が出てくる。ちなみに英国では、1.0Lエンジンも用意される。

試乗車には7速デュアルクラッチAT、DSGが装備されていた。不必要にペースを速めない限り、トランスミッションはエンジンと相性が良く、滑らかに変速をこなす。もっとも、Tロック・カブリオレはハイペースで走り回らせるタイプではないけれど。

コーナリング時のボディロールは、程よく制限が効いている。路面が乱れてくると、乗り心地には硬さを感じ、落ち着きがなくなるようだ。

折角のTロック・カブリオレ。心地の良い天気の日にルーフを開いて、穏やかにクルージングする走り方が向いている。

高速道路も走行したが、ルーフを開いていても、乱気流によるバッファー音の発生はほとんど感じられなかった。評価できる部分だ。

今の時代だからこそ楽しさが際立つ

フォルクスワーゲンTロック・カブリオレは、恐らく写真で見たままの、期待通りのクルマだといえる。腕利きドライバーのためのSUVではない。

ソフトトップのクロスオーバー、という組み合わせに疑問を持つかもしれない。だが、フォルクスワーゲンがそのコンセプトを信念を持って実現させたことは、尊重できるものだと思う。

新型コロナウイルスの流行で、閉鎖的な暮らしを強いられている昨今。開放的なTロック・カブリオレを運転してみると、嫌いになることが難しいと感じた。浮ついたアイデアだと、馬鹿にはできない。

むしろ正直、楽しい。今の時代だからこそ、筆者は気楽で軽薄なクルマに魅力を感じてしまう。

客観的に見れば、その楽しさで、抱えている妥協点を埋め合わせすることは難しいだろう。それでも、SUVのカブリオレに惹かれる人にとっては、些細な不便だと感じるレベルでしかないと思う。

フォルクスワーゲンTロック・カブリオレ 1.5 TSI エボRライン（英国仕様）のスペック

価格：3万3420ポンド（441万円）
全長：4268mm
全幅：1811mm
全高：1522mm
最高速度：204km/h
0-100km/h加速：9.6秒
燃費：14.3km/L
CO2排出量：159g/km
乾燥重量：1542kg
パワートレイン：直列4気筒1498ccターボチャージャー
使用燃料：ガソリン
最高出力：150ps/5000-6000rpm
最大トルク：25.3kg-m/1500-3500rpm
ギアボックス：7速デュアルクラッチ・オートマティック

画像　VW Tロック　固定ルーフ版と比較　全73枚