【詳細データテスト】フォルクスワーゲンTロック・カブリオレ 飛ばすほどに悪化するハンドリングと乗り心地 街乗りの使い勝手は良好

公開 : 2020.06.20 08:50  更新 : 2020.06.20 08:59

操舵/快適性 ★★★★★☆☆☆☆☆

切りはじめのステアリングレスポンスが驚くほどダイレクトで、かなり占有面積が小さいので、市街地の速度域では扱いやすく俊敏だ。ジャンクションやラウンドアバウトでは、多少の鋭さを感じさせつつ素早く駆け抜ける。

低速での乗り心地は、この手のクルマに予想されるよりも洗練性を欠き粗いといっていい。オプションのアダプティブダンパーは、スポーツサスペンションと19インチホイールによるセカンダリーライドのインパクトを相殺できていないのだ。

低速域でのハンドリングは悪くないが、速度が上がるほどにそのよさは失われていく。乗り心地は低速でも粗めだが、飛ばすほどにますます悪化していく。
低速域でのハンドリングは悪くないが、速度が上がるほどにそのよさは失われていく。乗り心地は低速でも粗めだが、飛ばすほどにますます悪化していく。

それでも、開けた道ではあるべき楽しさをいくらかはみせてくれるだろう、とわずかながらも期待したくなる。もっとも、それが長くは続かないのも想定の範囲内なのだが。

このクルマ、表面上は重量と高い重心をカバーできているように思われたが、速度が上がるにつれ、その能力は失われてしまう。低速域では十分と思われたねじり剛性についても、限界を露呈しはじめる。

横方向のボディコントロールはひどく悪化しないが、グリップレベルとハンドリングレスポンスはゆっくり走っていたときのようなシャープさがほとんどなくなってしまう。ターンインでシャシーは大きくロールし、まるで考え込むかのように反応が鈍くなるので、車体の重さを思い知らされることになる。

それにも増して気になることがある。やや路面コンディションの悪いA級道路に入ると、不安定で抑えの効かないピッチングやバウンシングが発生し、プライマリーライドはせわしない。走りの楽しみを邪魔するという点では、これらの影響のほうが大きい。

ダンパーをスポーツモードにしていても、そうではなくても、飛ばしたときの落ち着きはない。それ以上に、このクルマと日常を共にすることになれば、速度が上がるほどにひどくなる乗り心地のほうが大きな問題になるだろう。

鋭い突き上げでは、不意にシャシーの振動が引き起こされる。ルームミラーの中で後席ヘッドレストがずっと揺れているのは、明らかにボディがたわんでいるからだ。わずかとはいえ、めいめいにビートを刻んでいるのがはっきり感じられる。

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