【魅惑的な容姿という独自性】メルセデス・ベンツCLAシューティング・ブレークへ試乗

公開 : 2020.06.19 10:20

通常の4ドアクーペ、CLAより実用性で勝るシューティング・ブレーク。流麗なスタイリングは魅力ですが、ハンドリングや乗り心地など、気になる部分もそのまま受け継いでいるとする、英国編集部。英国南部の一般道で評価しました。

プレミアムブランドとして強い独自性

text: Alan Taylor-Jones(アラン・テイラー−ジョーンズ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
メルセデス・ベンツCLAのシューティング・ブレークは、かなり個性的なモデルだ。Aクラスのステーションワゴン的な存在でありつつ、大きくカーブを描くテール部分は、実用性よりスタイル優先。

この手法を用いて、キアはコンパクトモデルのプロシードへシューティング・ブレークを設定したが、価格で近似するライバルは不在。クラスきってのプレミアムブランドとして、CLAのシューティング・ブレークは、強い独自性を放っている。

メルセデス・ベンツCLA 220dシューティング・ブレーク(英国仕様)
メルセデス・ベンツCLA 220dシューティング・ブレーク(英国仕様)

英国編集部では、すでにメルセデスAMG 35のシューティング・ブレークを試乗している。今回乗るのは、通常のメルセデス・ベンツCLA 220dの方だ。

搭載するエンジンは2.0Lの4気筒ターボディーゼルで、最高出力は189ps。今のところ、英国で提供されるのは前輪駆動のみとなる。四輪駆動の間違いないトラクションが欲しいなら、AMGブランドから選択するしかない。

この220dが搭載する2.0Lディーゼルは、極めて洗練された完成度を得ている。先代が搭載していた、ガラガラとうるさかった2.1Lユニットとはまったくの別物だ。

ディーゼルエンジンらしい燃焼音は見事に隠され、低速域でも感心するほど静か。回転数が増えても、メカっぽいノイズは一切聞こえてこない。

CLA 220dの0-100km/h加速時間は7.2秒と、エンジンは充分に力強い。それ以上に好印象なのが、低回転域での柔軟性。極めて安楽に、長距離移動もこなせるはず。

活発なだけでなく、燃費も良好。アクセルペダルを慎重に操作すれば、長距離クルージング時には17.7km/Lという数字が表示されていた。

荒れた一般道で気になる乗り心地

燃費を支える1つが、標準設定の8速デュアルクラッチAT。滑らかに変速を済ませ、太いトルクを活かしながら、走行時のエンジン回転数を低く保ってくれる。

リアの長いシューティング・ブレークだが、走行時の振る舞いは、4ドアクーペのようにまとまりが良い。適度なグリップ力と、不足ない俊敏性を併せ持っている。

メルセデス・ベンツCLA 220dシューティング・ブレーク(英国仕様)
メルセデス・ベンツCLA 220dシューティング・ブレーク(英国仕様)

運転は楽しいというより、上質といった印象が勝る。ステアリングホイールに伝わる感覚は薄く、一定を超えると姿勢制御には緩さが出てくる。利便性に優れるワゴンボディはないが、BMW 2シリーズ・グランクーペの方がドライビングは楽しめる。

高速道路の走行車線を落ち着いて走らせている限り、乗り心地は快適。路面の荒れる郊外へ足を進めると、減衰力が足りず弾むような場面が出てくる。メルセデス・ベンツとしては驚くほど、頭が揺さぶられることも。

Mスポーツ仕様の2シリーズ・グランクーペの方が、間違いなく足腰は硬い。しかし、ツギハギが長く続くような区間での乗り心地の制御は、はるかに巧みだ。

車内は、フロントシート周りは通常のCLAと変わらない。頭上にも足元にも、充分な空間がある。ベースグレードでも、10.3インチのインフォテインメント用タッチモニターがダッシュボードに収まる。

インフォテインメント・システムは、ステアリングホイールのスポークやセンターコンソールに用意されたタッチパッドからも操作が可能。慣れれば、驚くほど多くの機能をステアリングホイールの上で操作できる。使いやすさは、BMW製のiドライブの方が勝るだろう。

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