【なぜR360クーペがモチーフに?】きっかけは社会人2年目の社員 マツダ100周年記念車

公開 : 2020.06.18 05:50  更新 : 2020.06.18 08:29

マツダのクーペへのこだわり

今回、若手デザイナー案を採用して、R360クーペをモチーフとした100周年記念車となったが、そもそもマツダはクーペへのこだわりが強いメーカーだ。

常務役員でデザイン・ブランドスタイル担当の前田育男氏は「戦後、クーペという呼称で量産したメーカーは、マツダが最初」と、R360クーペの自動車史における重要性を強調する。

マツダ靭(SHINARI)
マツダ靭(SHINARI)    マツダ

その後、ルーチェロータークーペやコスモスポーツなど、洗練されたクーペモデルをマツダは世に送り出している。

また近年でも、魂動デザインの基礎を作ったコンセプトモデル「SHINARI(シナリ)」や、2020年代のマツダデザインの方向性を示す「ビジョン・クーペ」など、クーペはマツダデザインの真骨頂であることが、改めて分かる。

そうしたマツダデザインの資産を、別の形でユーザーに届けるビジネスも始まる。

マツダコレクションの新設である。

これまでも、マツダの関連企業であるマツダエースが、量産車モデルカーなどを製造販売してきたが、マツダコレクションでは本社デザイナーが直接デザインに加わり、マツダミュージアムの実車を計測するなど、マツダとして拘り抜いたかたちで、量産モデルカーなどを企画した。

マツダオフィシャルサイトの中で、6月後半から販売を始める。マツダエース製品も併売していく。

マツダ社員ひとりひとりの思い

マツダコレクションでの量産モデルカーの価格は1万円前後。細部までの徹底して再現している逸品だという。

今回は、100周年記念車のモチーフとなった、R360クーペのモデルカーをオンラインで公開した。その他、Tシャツやマグカップなど6アイテム20種類を取り揃えた。

マツダ

2020年1月30日、創立100周年を迎えるにあたり、マツダ社員全員が2019年からマツダの歴史を今一度振り返り、いま自分自身が行っていること、そして次のマツダの100年に対してどのように考えていくかを、社員ひとりひとりが考える時間を設けてきたという。

マツダは第二次世界大戦で広島が被災した後、社会貢献のために三輪トラックの製造を進め、さらに人々の生活を豊かにするため、1960年に同社初となる乗用四輪車R360クーペを世に送り出した。

その後、排気ガス規制やオイルショックによるロータリー車の販売不振、フォードの資本参加による人員の大幅削減、さらに販売チャネル多角化の失敗など、紆余曲折を乗り越えて、「飽くなき挑戦」を心の支えとして、マツダらしいクルマ作りを続けてきた。

マツダに携わるひとりひとりの感謝の思いがカタチになった。

それが今回の100周年記念車なのだと、オンライン会見に参加したマツダ関係者の声を聞きながら、そう感じた。

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