【メタノールで走る】燃料電池EV「ナタリー」 コロナで計画に影 支援を求める
公開 : 2020.06.19 21:50
革新的なメタノールFCV「ナタリー」を開発中のグンペルト・アイウェイズ。コロナウィルスの影響により、その計画に大きな障害が生じたようです。ナタリーの量産化を実現するため、資金的な支援を求めています。
資金難のグンペルト・アイウェイズ
アウディの元エンジニアが率いるグンペルト・アイウェイズは、メタノール・フューエルセル・スーパーカー「ナタリー」を500台生産し、2021年初頭に納車を開始する計画を進めていた。
しかし、コロナウィルスによる経済的な影響で、同社の計画に大きな障害が発生しているようだ。創業者のローラント・グンペルトは次のように述べている。
「わたしたちは、政治と経済に取り残されていると感じています」
「現在、この新しく画期的な技術を普及させることができる強力なパートナーを探しています。連邦政府や州政府からの参加も受け入れます」
「当社の技術は、長い航続距離と短い燃料補給時間、シンプルなインフラを社会に提供します。グリーンメタノールを使用しているため、CO2ニュートラルで完全に無害です」
「メタノール燃料電池の開発により、水素からエネルギーを安全に得られるようになりました。ガソリン車より低リスク、かつ環境負荷の少ない方法で発電できるのです」
革新的なメタノール燃料電池車
ナタリーの初期モデルは、特注のボディカラーを施して40万7000ユーロ(4878万円)での販売となる。
2018年にプロトタイプが発表されたナタリーは、メタノールを水素に変換して発電する15kWの燃料電池を搭載している。
発生した電力は2速のトランスミッションを介して、各ホイールに搭載された電気モーターに送られ、合計出力543psを発揮する。
0-100km/h加速は2.5秒、最高時速は300km/hに達すると謳われている。
燃料には水とメタノールを混合したものを使用するため、水素ステーションや充電スタンドに行く必要がない。
従来の急速充電に対応したEVよりも大幅に少ない、3分での燃料補給が可能になったとされている。
さらに、航続距離は800kmという高い数値を誇る。
量産モデルのスタイリングは、2018年のコンセプトを踏襲している。
薄型のヘッドライト、大きく開いたエアインテーク、ダウンフォースを高めるリアスポイラー、レーシーなクーペスタイルを実現。
しかし、ドアは一般的なものから、ランボルギーニのようなシザードアに変更されている。ナタリーの「スーパースポーツカーの遺伝子」に沿ったものだという。
公道走行は可能だが、後部座席の代わりにFIA公認のフルロールケージを装備するなど、サーキットでの使用にも対応している。
また、フラックスやカーボンファイバーなどの素材を多用することで、最大限の軽量化を実現しているのも特徴だ。