【BMWらしさがもっと欲しい】BMW 2シリーズ・グランクーペ220dへ英国試乗
公開 : 2020.06.22 10:20
BMW 2シリーズ・グランクーペの中間グレードに位置する220d。前回試乗した218iはパフォーマンス不足が指摘されましたが、パワフルな2.0Lディーゼルの印象はどうでしょう。英国編集部が一般道で評価しました。
320dと同じ2.0L4気筒ディーゼルを採用
BMW 2シリーズ・グランクーペは、ざっくりいえば、後ろに伸びた荷室とフレームレスドアを備えた1シリーズ。正直いうと、第一印象はあまり良いものではなかった。
BMWが投入した新しいモデルは、スタイリッシュなメルセデス・ベンツCLAへの対抗馬になることが最優先。以前に試乗した、3気筒ガソリンエンジンを搭載した218iでは、そんな印象が拭えなかったのだ。
四輪駆動のM235iを頂点とする2シリーズ・グランクーペ。今回試乗するのは、ディーゼルエンジンの220dだ。ちなみに日本へは未導入となっている。
この220dに搭載されるエンジンは、一回り大きい320dと同じユニット。2.0Lの4気筒ディーゼルターボで、最高出力189psと最大トルク40.7kg-mを発揮する。
ボディサイズを考えれば、不足ないエンジンだといえる。トランスミッションも320dと同じ、8速ATが組み合わされる。
決定的な違いは駆動輪。3シリーズはご存知の通り後輪駆動だが、2シリーズ・グランクーペは前輪駆動となる。1シリーズと同様に。
前回試乗した2シリーズ・グランクーペ218iは、動的性能の不足が明らかだった。2.0Lのディーゼルエンジンには期待したいところだが、気持ち良く解決しているわけでもないようだ。
もちろんパワーで勝るだけ、加速は活発で安楽にこなす。スタートダッシュでも中間加速でも、素早さを感じられる。発せられるエンジンノイズは、320dより少し大きい。
スポーティなBMW製サルーンとは違う印象
回転フィーリングは、8速ATと同じくらい滑らか。太いトルクで、高速道路の長距離ドライブなら、17.7km/Lくらいの燃費も充分に目指せるだろう。
2シリーズ・グランクーペとして、とても洗練されたユニットとはいえる。それでも、218iのほかに選べるガソリンエンジンは、M235iに搭載される304psもある2.0L 4気筒ターボのみ。
電動化技術の採用が進む中で、最新コンパクトサルーンの中間グレードとして、マイルドハイブリッドでもない2.0Lディーゼルを据えるという判断は少し理解に苦しむ。中間グレードは往々にして主力グレードになるものだが、これではスイートスポットとは呼びにくい。
乗り心地も良いし、ハンドリングもまとまりがある。ステアリングも不安感がなく、目立った弱みはないと思う。でも、このディーゼルエンジンは、BMWの2シリーズ・グランクーペに期待するパフォーマンスを与えてはくれない。
ドライバーへ伝わる感覚や、一体感といった部分が物足りない。ペースを速めるほど、BMWらしさという特徴が薄い。同じセグメントのライバルモデルと比べると、埋もれてしまう印象すらある。
筆者が思うスポーティなBMW製のサルーンとは違うのだ。前輪駆動か後輪駆動かは別として、折角の新モデルという機会を、うまく掴めていないようでならない。
ただし、BMW 2シリーズ・グランクーペは、どのエンジンを選んでも強みは備えている。特にインテリアは、デザインや知覚品質のほか、コネクティビティなど搭載される技術面も、一回り大きい3シリーズと同等にある。