【ベントレー4台で英国縦断2泊3日】ジュネーブ・ショー中止が生んだ旅 前半
公開 : 2020.06.23 10:20
開催直前に中止が決まった、2020年のジュネーブ・モーターショー。ベントレーはシーズン開幕を記念するグランドツアーを計画していましたが、旅も急遽変更に。総行程1300km以上に及ぶ、英国縦断ツアーとなったのです。
ベントレー4台でスイスを目指すはずが
プランはシンプルだった。英国からベントレー4台を連ねて、2020年のジュネーブモーターショーを目指す。ボディタイプは、サルーンとSUV、コンバーチブルにクーペと個性豊か。
英国のケント州からスイスのジュネーブまで、8名のジャーナリストが交代でドライブし、2020年のモーターショー・シーズンの幕開けを記念する旅。2名1組のペアを組み、クルー製の最新モデルを優雅に味わう機会でもある。
ラインナップは、SUVのベンテイガ・スピード、4ドアサルーンのフライング・スパー、グランドツアラーのコンチネンタルGT V8クーペ、コンチネンタルGTコンバーチブル。素晴らしい内容としか思えない。
出発地は、英国南西部のケント州に建つ中世の古城、リーズ城。集合は金曜日の夕方。ここからスイスまでは、1200kmほど。ジュネーブ・モーターショーは火曜日の開幕予定だから、スケジュールには余裕があった。
土曜日はフランスの邸宅で一泊し、日曜日にはアルプスの湖畔に面したホテルへ滞在。月曜日のプレ・オープニング・イベントへは、完璧なタイミングで到着する計画だった。本来は。
AUTOCAR英国編集部からは、編集長のスティーブ・クロップリーが参加した。夕食を楽しみながら、他のメンバーとの交流を深める時間も用意されていた。
しかし、ご存知の通り新型コロナウイルスの影響でモーターショーは中止。4台のフライングBは、プランBの実行へと移された。1340kmに及ぶ、当初のプランと同等のビッグツアーが急遽組まれた。
忙しなさが増すジュネーブ・モーターショー
数年前まで、ジュネーブ・モーターショーはライターにとって、ゆったり楽しめるイベントだった。クルマで会場へ向かい、1週間を通じて取材をし、記事にまとめる。難しいことはなかった。
ところが近年は、ネタ探しで忙しい。ビデオクルーはあちこちにいて、イザコザも絶えない。即時的に情報をリリースする競争は、加熱する一方。ライバルより10分早くニュースをサイトにアップできれば、大勝利といえる。
インクに汚れた手で記事を書いてきた古株にとって、そんなインフルエンサーの競争に巻き込まれないようにすることは、1つの挑戦でもある。自分らしさは変えたくない。
もしかすると、スイスへの豪華な3泊の旅行は、少々過ぎた内容だったかもしれない。丸2日間も、ベントレーに浸ることができるのだから。
ベントレーはスタイリッシュな振る舞いが大好きだ。上等なお肉の前には、しっかり食欲を高めたいと考えている。豊かなライフスタイルをメディアを通じて表現し、ベントレーを理解してもらうためのグランドツアーが組まれていた。
ジュネーブ・モーターショーは開かれなかった。新型コロナウイルスの流行は止まらず、ショーの中止が決定したのは、開幕のわずか3日前だ。
すでに4台のベントレーには、ジャーナリストの荷物が積まれていた。メンバーの中の6名は、海外からの参加者だ。通常の自動車メーカーなら、とても悔いながら、旅の中止を決断しただろう。事実を受け入れ、8名を家へ戻したはず。