【パンデミックの打撃】ジャガー・ランドローバー 2019年度、557億円の損失 新車好調で、明るいニュースも

公開 : 2020.07.08 12:55  更新 : 2020.07.08 13:05

JLRは、邦貨にして557億円の損失を計上しました。パンデミックにより、販売が大幅に減少したことが原因ですが、新型モデルの販売と、コスト削減が順調に進んでいることから、楽観的な見通しが立てられています。

557億円の損失を計上に

text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)

ジャガーランドローバー(JLR)は、3月末締めの会計年度で、4億2200万ポンド(557億円)の損失を計上した。

新型コロナウイルスの大流行による需要の大幅な減少により、昨年末までの利益を相殺する形となった。

レンジローバー・イヴォーク
レンジローバー・イヴォーク

危機の影響とロックダウンにより、JLRの小売は、1月から3月までの間に前年比31%近く減少し、10万9869台となったのだ。

これは、通年の売上高が2018年度(2018年4月~2019年3月)に比べ、12.1%減少したことを意味する。

需要と収益の劇的な減少により、変革計画「プロジェクト・チャージ」のもとで、2019年後半に実現した黒字が相殺されている。

2020年の第1四半期のヨーロッパにおける税引き前損失は、5億100万ポンド(661億円)に上るのだ。

これにより以前の利益が相殺され、売上高は230億ポンド(3兆354億円)、通年では4億2200万ポンド(557億円)の損失となる。

JLRのCEOであるラルフ・スペッツは、「第4四半期のパンデミック以前、ジャガー・ランドローバーは、通年の目標達成に向けて順調に、ビジネス変革を実行してきました」

「また、新型コロナウイルスによって引き起こされた混乱に、迅速に対応してきました」

「わたし達の当面の優先事項は、従業員の健康と安全です。徐々に業務を再開している現在も、それは変わりません」と述べている。

製品面では、明るいニュースも届いている。

イヴォーク/Iペイスは伸びる

一方で、販売面のポジティブなニュースも確認できた。

レンジローバー・イヴォークは、販売台数が前年比24.7%増、ジャガーIペイスは40%増加するなど、成功をおさめている。

ジャガー Iペイス
ジャガー Iペイス

また、3月に中国で発売された、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツの更新版は、大きな売り上げが期待されている。

特に、レンジローバーおよびレンジローバー・スポーツの、中国での販売に大きな期待が寄せられている。

グローバルでのJLR製品の販売は、4月で前年比62.5%減、5月で43.3%減となっているが、ディーラーの89%が営業を再開し、ソリハル、ヘイルウッド、スロバキア、オーストリアの工場も生産を再開しているため、今後の回復が見込まれている。

ジャガーのセダンと、スポーツかの改良新型Fタイプを生産する、キャッスル・ブロムウィッチ向上は、8月中旬まで再開されないが、新しい電動ジャガーXJを生産するための、準備を整えている。

利息と税金(EBIT)前の収益で、ほぼ損益なしの状況ではあるものの、37億ポンド(4883億円)のキャッシュと、19億ポンド(2507億円)の未利用回転信用枠を含む、56億ポンド(7390億円)の「固体流動資金」がある。

プロジェクト・チャージのコスト削減計画も、順調に進んでおり、2020年の第1四半期には、削減額が6億ポンド(792億円)増の、35億ポンド(4619億円)となっている。

「利益率が低く重要度の低い投資を延期する」ことにより、以前発表されている40億ポンド(5279億円)から、さらに10億ポンド(1320億円)のコスト削減を目指している。

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