【美しい姿に自然吸気のV8】レクサスLC 500リミテッド・エディションへ英国試乗

公開 : 2020.06.24 10:20

機敏でバランスの取れたスポーツカー

10速ATのメリットとしては、高速クルージング時の燃費を10.6km/L程度にまで高められることがある。変速自体は、シフトアップもシフトダウンも充分にクイック。ただし、電光石火のポルシェ製PDKほど鋭いわけでもない。

このトランスミッションは、レクサスが2021年のモデルイヤーに向けてアップデートを目指している部分。レシオや変速タイミングが改められ、日常の走りやすさを改善する予定だという。

レクサスLC 500リミテッド・エディション(英国仕様)
レクサスLC 500リミテッド・エディション(英国仕様)

21インチホイールとランフラット・タイヤという組み合わせは、ラグジュアリーなグランドツアラーへ期待する以上に硬い乗り心地と、にぎやかなロードノイズを生んでしまう。サスペンションは落ち着きがなく、荒れた路面では処理に苦労している様子。

コンフォート・モードを選んでいれば、乗り心地は少し改善される。それでも、長距離走行を得意とする、グランドツアラーのベスト・モデルに並ぶことは難しい。

ドライバーの気持ちが高まるような、カーブの連続する道へ進むと、LC500の優れたハンドリングが顕になる。とても機敏で、バランスの取れたスポーツカーだ。

低回転域でのトルクは控えめだから、リアタイヤがスライドしはじめる場面は限定的。スポーツ+モードを選び、パワーを掛けていくと、旋回姿勢の自由度が増す。可変レシオのステアリングと四輪操舵システムを備えるものの、操縦性に悪影響を及ぼすことはないのがイイ。

躍動的なボディにカリスマ的なV8エンジン

車重は1900kgを超え軽いとはいえないが、LC500は流れるように高速コーナーを抜けていく。ミドシップのライバルモデルに負けないほど、ダイナミックな走りだと思う。

英国でも、自然吸気のV8エンジンモデルはとても貴重。パワートレインの構成は、LC500を選択する理由の1つとして重要な要素にある。来年、ミドシップ化された最新のC8型シボレーコルベットが英国にも上陸すれば、LC500の見られ方に変化があるかもしれない。

レクサスLC 500リミテッド・エディション(英国仕様)
レクサスLC 500リミテッド・エディション(英国仕様)

動的な性能でいえば、真のスポーツカーとグランドツアラーの中間にあり、悪くいえば中途半端。日常的な乗りやすさは、気筒数の少ないターボエンジンを搭載したモデルの方が、秀でてはいる。

しかし、いずれもLC500の絶妙な成り立ちを霞ませることはない。コンセプトカー譲りの躍動的なスタイリングと、カリスマ的なV型8気筒エンジンのサウンドが融合するレクサスLC500。ほかにはない、強い訴求力を放っている。

レクサスLC 500リミテッド・エディション(英国仕様)のスペック

価格:9万385ポンド(1193万円)
全長:4770mm
全幅:1920mm
全高:1345mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:4.7秒
燃費:8.6km/L
CO2排出量:262g/km
乾燥重量:1935kg
パワートレイン:V型8気筒4969cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:473ps/7100rpm
最大トルク:53.6kg-m/4800rpm
ギアボックス:10速オートマティック

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