【手放し運転、遠い未来か?】条件付きの「手放し」 わかりづらさのワケ 今はまだ発展途上
公開 : 2020.06.23 05:50 更新 : 2020.06.23 08:57
条件付き なんだかとてもわかりにくい
今回のフォードのように、高速道路を走行中にカーナビ連動・同一車線でハンズフリーで走行できるシステムを世界で初めて量産したのは日産だ。
2019年7月に発表した、スカイライン搭載のプロパイロット2.0。日産では、ハンズフリーではなく、ハンズオフという言葉を使う。
日産の説明によると、まず高速道路の複数の車線をカーナビに連動させてルートを設定する。
その上で、ドライバーは常に前方を見て、周囲に注意を払い続けること。必要に応じて、ハンドルを確実に操作できる状態にあることを求めている。
また、但し書きとして、対面通行路、トンネル内、カーブ、料金所/合流/車線数が減少する地点及びその手前などでは、ハンズオフできない、とある。
要するに、直線路が長い高速道路向けなのだ。
とはいえ、例えば新東名高速道路は直線路が長いが、トンネルも多く、ハンズオフになったり、ならなかったり、実際に使おうと思えば結構面倒だ。
このように、走行する場所が細かに規定されているは、運転姿勢は決まっているは、ユーザーにとっては扱いにくい。
それなのに、なぜ自動車メーカー各社はハンズフリー走行に拘るのか?
その背景にあるのは、自動運転の技術進化における「途中にいる」という事実だ。
自動運転の技術 いまはまだ発展途上
自動運転レベルは0から5まで6段階ある。
その中で、大きな課題はレベル3の壁だ。
日産やフォードなどのハンズフリー走行は、自動運転のレベルではレベル2に相当する。
このレベル2までは、運転の責任は運転者にある。だから、例えハンズフリーでもドライバーは常時、周囲に注意を払う必要がある。
これがレベル3以上になると、運転の責任はクルマのシステムに移る。そうなれば、自動運転中は車内で様々な行動が許される。
ながらスマホや読書が可能となる。
ただし、レベル3では、クルマのシステムが自動運転の継続できないと判断すると、運転席にいるドライバーに対して、表示や警告音によって運転の切り替えを依頼している。
そのため、シートを倒しての深い睡眠や、飲酒はNGとなる。
日本では道路交通法が改正され、今年4月から公道でのレベル3走行が可能となった。
ホンダは当初、今夏を目途にレベル3量産化を計画していたが、社会状況に鑑み導入を延期している。
そうした法規制の緩和や、技術の詳細について、ユーザーは詳しく知らない。
そのため、ハンズフリーによって何ができて、何ができないのか、わかりづらくなっているのが実情だ。
あと10年も経てばユーザーは、「あの頃は、自動運転もまだまだ発展途上だったな」と過去を振り返って笑うのかもしれない。