【ゴルフVSフォーカス】8代目ゴルフはベスト・ハッチバックなのか 後編
公開 : 2020.06.25 16:50
ダイナミクス性能で秀でたフォーカス
8代目ゴルフのステアリングホイールの操舵感は、切り初めの反応性がよりシャープになっている。交差点やジャンクションなどでの操作も、手短に終わる。いわゆる、スポーティ度が増している。
そうだとしても、フォード・フォーカスのドライバーに対する訴求力は別次元にある。都市部や低速域では明らかに硬さが目立つから、真価を引き出すには路面を選ぶし、高い速度域が求められることは事実。
その条件がそろえば、優れた精度を持つ操縦性と、減衰力の洗練度が顕になってくる。乗り心地も、フォーカスの方が路面の振動を上手に吸収してくれるようだ。
ステアリングはゴルフよりはるかに鋭く、まったく異なるスタイルで操れる。ゴルフはしっかり腕を動かす必要があるが、フォーカスなら手首をひねれば充分。ステアリングホイールを握り直すことなく、ほとんどのコーナーをクリアできる。
クルマの反応は常に直感的。ボディロールでエネルギーが無駄に消費されることもない。ドライビング体験を決定づける違いだ。フォーカスのシャシーは、ファミリー向けハッチバックに求める以上の能力を秘めている。
従来のモデルほど、強いインパクトはないかもしれない。それでも、フォード・フォーカスは今なお鮮烈。控えめなグレードのフォーカスは、従来どおり特別な存在のままだ。
一方で、最新のフォルクスワーゲン・ゴルフが備える訴求力は明らかに広がっている。その事実が、最終判断に大きな影響を及ぼしてくる。
新境地へ足を踏み出したゴルフ
積極的な走りを求めるドライバーが多くはない、ファミリー層向けのハッチバックというカテゴリー。安全性やコネクテッド機能といった側面は、重要度を一層強めている。技術的な洗練度や運転のしやすさは、販売を支えるカギとなっている。
8代目フォルクスワーゲン・ゴルフは、従来のポジションから一歩踏み出し、新しい境地を獲得したといっても良い。変化の割合は控えめとはいえ、走りでも訴求力は強められている。
シャシーは成熟され、角も良く取れている。エンジンは燃費効率を高め、ドライバーへ経済的なメリットも与えてくれる。
今までとは異なるゴルフには感じられる。一部のドライバーにとって、デジタル化された車内は少し居心地が悪いかもしれない。しかし、このクラスを力強く牽引できる新モデルだといえるだろう。
今回の勝者は、8代目フォルクスワーゲン・ゴルフとしたい。
ゴルフとフォーカスのスペック
フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 TSI 130のスペック
価格:2万3900ポンド(315万円)
全長:4284mm
全幅:1789mm
全高:1456mm
最高速度:214km/h
0-100km/h加速:9.2秒
燃費:18.6km/L
CO2排出量:122g/km
乾燥重量:1315kg
パワートレイン:直列4気筒1498ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:130ps/5000-6000rpm
最大トルク:20.4kg-m/1400-4000rpm
ギアボックス:6速マニュアル
フォード・フォーカス 1.0エコブースト125チタニウムXのスペック
価格:2万3940ポンド(316万円)
全長:4348mm
全幅:1825mm
全高:1454mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:10.0秒
燃費:17.6km/L
CO2排出量:127g/km
乾燥重量:1322kg
パワートレイン:直列3気筒999ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:124ps/5000-6000rpm
最大トルク:20.4kg-m/2000-3500rpm
ギアボックス:6速マニュアル