【グループCカー並みの速さ】ポルシェ718ケイマンGT4 クラブスポーツへ試乗
公開 : 2020.06.26 10:20
ハイパーカーを凌駕するサーキットでの喜びだけでなく、シリアスなレーシング体験も堪能できる、ポルシェ718ケイマンGT4クラブスポーツ。英国編集部が、シルバーストーン・サーキットで限界領域まで攻め込みました。
もくじ
ーアマチュアにもチャンスがあるGT4
ーレース用サスに426psのフラット6
ーアマチュア・ドライバーの運転が前提
ーブレーキングとコーナリングを融合させる
ー内容を考えれば高くはない価格
ーポルシェ718ケイマンGT4クラブスポーツ(英国仕様)のスペック
アマチュアにもチャンスがあるGT4
欧州を中心に盛んなGT4。10年ほど前は、GT3カテゴリーを補完するアマチュア向けのカテゴリーだったが、競争は激化。現在はGT4のマシンでも、当初のGT3マシン並みの速さを獲得している。
その気になれば、100万ポンド(1億3200万円)を、GT3へ投入することも簡単。例え努力を重ねても、結果は簡単にはついてこない。ラップタイムを0.2秒削ることは難しくても、タイヤバリアにクルマを突っ込ませることは、望まずして起き得る。
最新のGT3マシンの性能は、上がる一方。1980年代のグループCプロトタイプ・マシン並みのタイムで、難関のスパ・フランコルシャンを周回できるほど。
GT4の成長は止まらない。筆者は2019年にマクラーレン750S GT4をドライブし、スパ・フランコルシャンを走った。左コーナーのオー・ルージュを、230km/h以上のスピードですり抜けた。
参戦に必要な費用は、GT3よりはるかに少ない。クルマは空力面への依存割合が小さく、運転技術を高めるマシンとしても好適。GT3マシンと比べて、マシンの可能性を探ることも容易で、優れたドライバーは優れた速さを残せる。
つまり、アマチュアにも勝つチャンスが残されている。GT4は面白い。
今回筆者がステアリングを握るのは、ポルシェ718ケイマンGT4 クラブスポーツ。少しの才能と経験があれば、ミシュラン製のタイヤが温まり次第、高速域の満ち足りた時間を堪能できる。
レース用サスに426psのフラット6
かつてポルシェ968にもクラブスポーツというクルマがあったが、それとはまったくの別物。ロードカーに少し手を加えただけの、当時のクラブスポーツとは違う。
高度に手が加えられたレーシングカーだ。公道用のケイマンGT4とも、圧倒的な違いがある。信じられないようなスピードで周回できる。
エンジンルームに収まるのは、最新ではない、3.8Lのフラット6。最高出力は420psではなく、426psとわずかに高い。トランスミッションはダブルクラッチATのPDKだが、7速目がなく、6速仕様。
フロント・サスペンションはGT3カップカーのもので、レース用スプリングのフル調整式。ダンパーは収縮と伸長で別々に減衰力を変えられる。アンチロールバーもブレーキも、完璧なレース仕様だ。タイヤはレーシングスリックか、天気によってはウェットパターンも選べる。
インテリアは徹底的に剥がされている。ステアリングコラムと少しのスイッチが残され、ダッシュボードはケイマンのものだと形状が分かる程度。鮮明なコスワース製のデータロガー・システムが、メーターパネルに取り付けられている。
ここまで装備が除かれていたら、ケイマンGT4 クラブスポーツはかなり軽量に思える。でも、実際はそうでもない。
内蔵式のエアジャッキに溶接されたロールケージ、通信システムと消火器、レギュレーション上必要なリムーバブル・ルーフ、90Lの大きな燃料タンクなどを装備し、車重は1320kg。標準の公道用ケイマンGT4とほぼ同じ車重がある。