【失われたアイデア工場の内側】ヴォグゾールのデザインスタジオへ潜入 後編
公開 : 2020.07.04 16:50 更新 : 2020.12.08 11:04
グリフィン・ハウスのコンセプトモデル
オペルとモデルが共有されるが、ヴォグゾールの英国でのシェアは1993年までに17.6%へと続伸した。皮肉なことだ。挑戦的で注目に値するデザイナーの創作活動が、再興する日はやってくるのだろうか。
グリフィン・ハウス、ヴォグゾール・エンジニアリング&スタイリング・センターで生まれたコンセプトカーを何台か見ていこう。当時の活気も、伝わってくるようだ。
ヴォグゾールGTコンセプト
1960年代後半に作られた、エレガントなクーペ。マセラティのような雰囲気が強い。ヴォグゾールの領域から、どの程度デザイナーに自由度が与えられているのか、試したものだろう。想定メカニズムは不明。もしかすると、スタイリングだけかもしれない。
ベッドフォード・チェイサー
短いホイールベースを持つ、CFバンをベースとしたオフローダー。四輪駆動システムは、軍用スペックの本気のものだ。誰もがこのアイデアを支持したが、車名はヴォグゾールの上層部に反発されたらしい。
ヴォグゾールSE100
小さなコンセプトカー。英国のミニを近代的に解釈し、スペース効率を追求する試み。車名の100は、クルマの全長を示している。100インチ、つまり2540mmだ。
ヴォグゾール・ベトゥラ
1965年に登場した前輪駆動のコンセプトカー。ファミリー層をターゲットにしていたが、デザインはスチュードベーカー・アバンティから影響を受けているように見える。
当時、ヴォグゾールのエンジニアの1人が、極秘状態だったこのクルマの写真をクリスマスカードに使用。知人の間にも広まり、大騒ぎとなったそうだ。
全盛期の個性的なデザイン
ヴォグゾール・エクウス・スポーツ・ロードスター
1970年代後半に提案された、スポーツカーのコンセプト。デザイナーのウェイン・チェリーと、ヴォグゾール、そしてグリフィン・ハウスの創造性の頂点にあった時期といえるだろう。
ベースとしているのはパンサー・リマというモデルだが、ウェッジシェイプ・デザインの流行を先取りしている。現在カリフォルニアで保管されているようだ。
ベッドフォードCG80/CG90
小さくスタイリッシュなコンセプトモデル。1970年代にCG80とCG90という2台が作られている。恐らく数字はインチによるホイールベースの長さだ。メカニズムは、ヴォグゾール・ビバをもとにしている。
ベッドフォードRタイプ
同じデザインで、複数のボディ展開が可能なコンセプトモデル。1970年代のトレンドでもあった。日産やイタリアのデザイナーも似たようなアイデアを同時期に生み出している。Rタイプでは、ピックアップとバン、ステーションワゴンが提案された。
ヴォグゾール・スキャンプ
現実的なデザインで、最も量産モデルへ近かったコンセプトモデル。1972年の発表だが、その10年近く後に発表されたオースチン・メトロに似た特徴を備えている。ヴォグゾールもこのデザインは気に入っていたようで、さまざまなボディ展開が考案された。