【思いのほか早い離婚】メルセデス・ベンツとBMW 相容れない関係鮮明に 自動運転/AI関連で
公開 : 2020.06.27 08:50
メルセデス・ベンツはBMWと自動運転に関する共同開発を一時的に棚上げすると発表。その5日後、メルセデス・ベンツと、アメリカの大手半導体メーカーとタッグを組むことが明らかに。背景や影響を考えました。
メルセデス・ベンツ、淡々と
「単なる、タイミングイッシュー(時期的な問題)だ」
メルセデス・ベンツカーズのオラ・ケレニウスCEO(最高経営責任者)は、そう答えた。
だが、その答えを鵜呑みにする業界関係者は少ないだろう。BMWとの関係についてである。
メルセデス・ベンツと、アメリカの大手半導体メーカー「エヌビディア」は日本時間の2020年6月24日午前2時30分から、2社のCEOが独シュトゥットガルトと米シリコンバレーからオンライン参加した共同記者会見をおこなった。
会見の主旨は、エヌビディアが今後、メルセデス・ベンツに対して、自動運転技術などに関わる人工知能など関連するソフトウェアのプラットフォームを総括的に供給する、という内容だ。
2024年までに自動運転レベル2またはレベル3などを含む量産化をおこなう。
この5日前に、メルセデス・ベンツはBMWと自動運転に関する共同開発を一時的に棚上げすると発表している。
今回の会見で、後半におこなわれた報道陣からのメールによる質問で「エヌビディアとの協業が、先に発表されたBMWとの関係解消の原因なのか?」という質問が出た。
その答えが「単なる、タイミングイッシュー」だったのだ。
世界をリードするドイツ大手2社でいま、何が起こっているのか?
ユーザーにとって、それはどう影響するのか?
クルマがスマホ化される日
今回のメルセデス・ベンツとエヌビディアとの会見で、改めて分かったのが、いわゆる「クルマのスマホ化」問題だ。
将来、電動化や自動化が進むと、クルマは単なる動くための箱(ドンガラ)になってしまい、ソフトウェアなどデータを管理するシステムが主役になるという解釈だ。
スマホの四隅にタイヤをつけた風刺画を2010年代中頃からよく見かけるようになった。
もし本当にそうなったら、メルセデス・ベンツもBMWもレクサスもポルシェも中身は大差なく、違いは見た目(デザイン)だけ、という時代がやってくるのかもしれない。
そんな究極論にも通じるような内容の会話が、今回の記者会見では両CEOから聞かれ、筆者としてはかなり驚いた。
むろん、「そうなる」とは発言していないのだが、将来のクルマはデータの書き換えによって様々なアップグレードが可能となる、という話だ。
OTA(オン・ザ・エア)という、スマホのように通信で車載データの書き換えについては、テスラを筆頭に大手メーカー各社が本格的な導入を進めている。
エヌビディアは、単なる人工知能、単なる自動運転、単なるソフトウェアの書き換えではなく、クルマのシステムを統括するレベルの極めて重大は出来事だ、と強調するのだ。
今回の会見、いろいろ観点から意味深な部分が多過ぎる……。