【思いのほか早い離婚】メルセデス・ベンツとBMW 相容れない関係鮮明に 自動運転/AI関連で
公開 : 2020.06.27 08:50
裏にあるのは半導体大手2社の競争
2社が自動運転を含む、車載ソフトウェア関連の共同開発を棚上げにした理由は、2社それぞれが組むソフトウェア系企業が違うから、と考えるのが、自動車業界内では常識的だろう。
BMWは、米半導体大手インテルとの関係が深いのだ。
インテルとエヌビディアはもともと、同じ領域で戦う業種ではなかったのだが、自動運転を筆頭とする「自動車におけるビックデータ」については、ガチンコのライバルとなった。
筆者はその立ち上げ時期から、米シリコンバレー現地で各種の取材をしてきており、現場の生の声や、経営陣の考えなどを直接聞いてきた。
両社は、場合によっては将来に向けた開発で協調することもあり得るとしてきた。
だからこそ、メルセデス・ベンツとBMWも、自動運転での協調を模索してきたはずだ。
自動運転で活用する高精度三次元地図でも、2社は共同出資してる関係にある。
ところが、結局のところ、2メーカーとの関係が深い半導体大手2社を含めた、4社の間で目指す方向が一致しなかったのだと考えるのが妥当だ。
では、今回のメルセデス・ベンツとBMWとの連携棚上げは、ユーザーにとってどのような影響があるのだろうか?
連携棚上げ ユーザーにとって影響は
今回の提携棚上げとは、「一時的に保留し、将来関係が復活することもあり得る」としている。
例えるなら、離婚ではなく、冷却期間を持った別居、といった感じだ。
とはいえ、結婚してから1年強での別居であり、そう簡単に復縁しそうもない。
ユーザーにとっては、自分クルマの車載システムが、他のメーカーとどのように連携していようが、日常生活の中で支障があったり、またはプラス要因になることもないだろう。
EVなど、電動化技術についても同じだろう。
各種の次世代技術が同時進行で一気に進んでいる、クルマの世界。
その中でも、ジャーマン3(ダイムラー、BMW、フォルクスワーゲン・グループ)に関わる連携は、日本を含めて世界自動車産業全体に大きな影響力を及ぼす。
だが、その実態がユーザーには極めて分かりにくい。
今回の、メルセデス・ベンツとBMWの別居で、改めてそう感じる。