【グランプリレーサーから4シーターへ転身】マセラティ・ティーポ26 前編
公開 : 2020.07.05 07:20 更新 : 2022.08.08 07:39
アイリッシュ・グランプリでの激闘
マセラティはアイリッシュ・グランプリで速さを示した。ジュゼッペ・カンパリはストレートで193km/hを出したが、バーキンがドライブするアルファ・ロメオ8Cは185km/hに留まった。だが、稲妻のように走るメルセデス・ベンツSタイプには届かなかった。
レース当日は寒く、湿っていた。雨の予報の中、大観衆がカンパリの走りを見に集まった。スタート・フラッグを大統領が振り、発砲音が響くと、壮大なバトルがスタートだ。
バーキンはスタート直後、湿った草地に乗り上げながらメルセデス・ベンツをパス。だが1周目が終わるまでに、メルセデス・ベンツはアルファ・ロメオとマセラティを追い越しリードする。ジョージ・エイストンがドライブするマセラティもそれに続いた。
Sタイプをドライブするロード・ハウは、ルドルフ・カラツィオラが1930年に記録した146.9km/hをマーク。マセラティも力強く追い上げた。
エイストンはアルファ・ロメオ8Cをパス。マセラティ・チームへ有利に働くように仕掛ける。しばらくして雨が降り出すと、Sクラスのペースが鈍り始めた。
稲妻とともに雷鳴がとどろく。強い雨が降りそそぐ。雨のレースに強かったバーキンは、水浸しのサーキットで先頭に立った。
エイストンがドライブするマセラティは、雨の影響で点火不良に苦しんだ。カンパリのマセラティは、バーキンのアルファ・ロメオに食い下がるものの、不運が襲ってしまう。
この続きは後編にて。