【無念、クロスモーション量産なし】エクストレイル別物ありは期待外れ? コンセプト発想に大きな変化
公開 : 2020.07.24 05:50 更新 : 2021.04.22 13:28
コンセプトと量産車 どれもそっくり
北米日産のサイトでは、画面を横にスライドすることで、2車の画像が徐々に入れ替わる。
クロスモーション以外のコンセプトモデルについても、量産車と見比べると2車の共通性がはっきりわかる。
具体的には、「レゾナンス」(2013年デトロイトショー)が3代目ムラーノ(2014年ニューヨークショー)。
「キックス・コンセプト」(2014年サンパウロショー)が「キックス」(2016年リオデジャネイロショー)。
「グリップス」(2015年フランクフルトショー)が日本に未導入の2代目「ジューク」(2019年9月欧州6都市同時公開)。
「IDS」(2015年東京ショー)が、2代目「リーフ」(2017年東京ショー)。
そして、こうした一連の流れを受けて、「アリア・コンセプト」(2019年東京ショー)が「アリア」(2020年7月)と明記されている。
「アリア・コンセプト」の画像を横スライドさせると、量産アリアのティザー画像が浮かび上がる。そこには、ヘッドライト周りが協調されているが、ほぼコンセプトモデルと同じ、といった印象だ。
つまり、北米日産による今回のニュースリリースは、日産本社が5月の決算報告および4か年の中期経営計画で示した2021年11月までの新たな12モデルに対する、日産の本気度を証明なのだと思う。
コンセプトモデルの役割、変わった
コンセプトモデルにおける本気度とは、コンセプトモデルをお披露目したからには、必ず量産するというユーザーやディーラーに対するコミットメント(約束)である。
日産を含めて、自動車メーカー各社で近年、こうした傾向が強まっている。
60年代~70年代のモーターショーでは、コンセプトモデルは「ドリームカー」だった。同時の生産技術では到底量産できないことは、メーカーもユーザーも承知の上で、夢を見ることが楽しかった。
80年から90年代は、メーカーからの「新しいクルマ(生活)の形」といった類の提案型のコンセプトモデルが増えた。
さらに、2000年代には燃料電池車や自動運転車など技術優先型も増えた。または「(量産はなく)あくまでもデザインスタディ」というシロモノもよく目にした。
それが2010年に入り、コンセプトモデルを含めて、モーターショーが「目の前の現実の商売」を強く意識する内容になってきた。
けっして「夢がなくなった」というワケではないが、量産意識のコンセプトモデルが当たり前になり、モーターショーがビジネスショーとしての色合いが濃くなった印象がある。
今後は、日産を含めて自動車メーカー各社の最近の常套句、「選択と集中」が進むなか、コンセプトモデルとは「早期の量産ありき」が絶対条件になるだろう。