【バラバラ盗難車】盗まれたホンダ・シビック・タイプRのエンジンは取り戻せるか? 米国販売のその後

公開 : 2020.06.30 05:50  更新 : 2023.03.31 09:35

取り戻すために動き始めた被害者M氏

そのような中、「絶対にエンジンを取り戻す!泣き寝入りはしない!」と立ち上がった被害者がいる。
今年2月半ばに愛車を盗まれて、5月下旬にJ-Specのサイトで販売されていることがわかったホンダシビック・タイプRオーナーのM氏だ。

実は筆者と息子はM氏のサポートをすべく、J-Specに電話をしてみたり、M氏のメールを翻訳したり、現地の警察にもメールを送ったりしている。

これまでの経緯を簡単に紹介しておきたい・

M氏→J-Spec

「ディーラーで車体番号とエンジン番号が確認できた。私のクルマのエンジンなので返してほしい。あなたの会社で販売しているなら購入する」(ディーラーで確認した際のパソコン画面をJ-Specに送信)

J-Spec→M氏

「パソコンの画面では偽造の可能性がある。あなたのクルマであることを証明する正式な書類を見せてほしい。期日までに送らなければ第三者に販売する」

M氏→J-Spec

車体番号が入った登録事項証明書を翻訳して送付

J-Spec→M氏

「この書類では(エンジン番号が入っていないので)あなたのクルマかどうか証明にならない。エンジンはもう、第三者に販売してしまった」

なんと、M氏が購入すると伝えていたのに、別の第三者に販売してしまったとのこと。

こちらはできる限りの書類や証拠を集めて送っていたが、あれこれ難癖をつけて来たあげく、第三者へ売ってしまったという。

ホンダ「タイプR」の盗難が激減!?

捜査の都合上、詳しいことはここでは伝えられないが、アメリカの警察(J-Specがある地域のバージニア州ヘンリコ警察)と日本の警察(都道府県警察本部と所轄署)も捜査に乗り出しているのは確かのようだ。

M氏のホンダ・シビック・タイプRをはじめ、日本国内で盗まれた20台近くのクルマがJ-Specにて販売されている事実を伝え、写真も添えヘンリコ警察に送信した時には数時間後に返信が届いた。

バージニア州ヘンリコ警察とのやりとり。
バージニア州ヘンリコ警察とのやりとり。    加藤久美子

ヘンリコ警察からの返信には、以下のように書かれていた。

「すべての情報に感謝します。私たちはこれらの情報を自動車窃盗の捜査を担当する部署に共有しました」

すでにアメリカの協力者たちがヘンリコ警察に連絡をしたという話も聞いていたが、日本から被害者自らが写真や書類などを添えて情報提供をしたのはM氏が初めてだったのではないかと思う。

その後、日本のサプライヤーであるJDMレーシングジャパン(解体業者として登録されている代表者は外国人)に電話をして聞いてみたところ、日本人の事務スタッフは、警察の捜査が入っていることを明らかにした。

さらに、驚いたことはJ-Specでの盗品販売が明らかになった5月下旬以降、自動車盗難情報局に登録されるシビック(タイプR含む)とインテグラ(同)の盗難情報がゼロとなっている。

登録されていない盗難車も多数あるだろうから一概には言えないがタイプRの盗難は確実に減っている。

筆者のアメリカの協力者がJ-Specに「店は営業していますか? B型エンジンはありますか?」と尋ねたところ、「店は営業しているが、現在B型エンジンの在庫はない」との回答が来たそうだ。

盗品であることの証拠を消すために販売を取りやめたかすでに第三者に販売した可能性もある。

また、理由は不明だが(コロナではない)、J-Specのコンテナは4月上旬以降、日本から出ていないという情報もある。

何としてでもエンジンを取り戻してJ-Specの悪事を糾弾したいM氏はエンジンに懸賞金を掛けることも検討しているとのこと。

詳細が決まれば、続報をお伝えしたい。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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