【ドライバーへの訴求力は変わらない】ロータス・エボーラGT410へ試乗
公開 : 2020.07.01 10:20
変わらないドライバーへの訴求力
車内はタイトで居心地が良い。大きく湾曲するフロントガラスは、現代版ランチア・ストラトスのようだ。リアミラーを覗くと、カムカバーが映り込む。ドライバーの気持ちを高めるのに、不足はない。
ただし、旧式なフォード製スイッチ類やアフターマーケット製のインフォテインメント・システム、いくつかの低級なプラスティック製部品などはそのまま。荷物置き的なリアシートも、変わってはいない。
GT410へ与えられた変更は、エボーラを扱いやすくするという目標達成に結びついている。石畳の道を走らない限り、サスペンションは見事に路面からの衝撃を吸収。優雅な走りは、従来以上に輝きを放つ。
レスポンスに優れたミドシップ・スポーツらしさもそのままだが、エボーラGT410なら短いホイールベースとは裏腹に、流麗な質感で長距離の高速移動もこなせる。しかもクルージング時の燃費は、12.4km/Lと比較的サスティナブル。
郊外の道でのロードノイズは、ポルシェ718ケイマンSと大差ないレベル。そして何より、ドライバーへの訴求力が、まったく失われていない点がうれしい。
GT410の操縦性は、驚くほどに中立的。これほどコミュニケーション力に長けたステアリングを持つライバルは、存在しないだろう。優れたグリップ力とトラクションを支配下に置ける、白眉のシャシーバランスと正確性を備えている。
極めて機敏だがナーバスさはなく、ドライバーが望む通りクルマを攻め立てられる。落ち着きも失われておらず、ドライビング体験の広がりを謳歌できる。
日常性を増した高バランスのスポーツカー
これほどバランスに優れたスポーツカーは、ほかに思い浮かばない。日常性を高めた、エボーラGT410。わずかにラグジュアリーさを増したといっても、機敏なイングリッシュ・グレイハウンドに飾りの付いた豪華な首輪を付けた程度だ。
革張りの内装の下に控えるのは、スリムでダイレクトなアルミ押し出し材を用いたシャシー。登場から12年経っているが、こちらも変わらない。
さて、ロータス・エボーラGT410の気になる価格だが、ポルシェ911のエントリーグレードと英国では同等。アルピーヌA110と比べると、ほぼ2倍。
おそらく多くの人は、よりフレッシュな雰囲気を持つモデルへお金を支払うはず。当然だと思う。これまでのエボーラと同様、ロータスを愛する純粋主義者がエボーラGT410を選ぶのだろう。そこも変わらない。
ロータス・エボーラGT410(英国仕様)のスペック
価格:8万2900ポンド(1094万円)
全長:4390mm
全幅:1850mm
全高:1240mm
最高速度:280km/h
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:9.1km/L
CO2排出量:248g/km
乾燥重量:1361kg
パワートレイン:V型6気筒3456ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:415ps/7100rpm
最大トルク:40.7kg-m/3500rpm
ギアボックス:6速マニュアル