フォルクスワーゲン・クロスブルー・コンセプト

公開 : 2013.09.28 22:00  更新 : 2017.05.29 18:58

■どんなクルマ?

このフォルクスワーゲン・クロスブルーは2015年前半に生産が初められるモデルで、英国で発売が開始されるまでは後3年待たなければならない。しかし、今年1月のデトロイト・モーターショーで登場したクロスブルーのプロトタイプのテスト・ドライブを行う機会に恵まれたのだった。

このクロスブルー・コンセプトは、完全に走行可能なモデルであり、そのパワーユニットには2ℓのディーゼル・ターボとリチウムイオン・バッテリーによって駆動されるモーターが搭載されている。しかし、完全に走行可能なモデルとはいっても、ドイツ国内のナンバーを取得していないことから、そのテストはフランクフルト近郊にある飛行場の滑走路が舞台となった。もちろん、その舞台が、大きなSUVであるクロスブルーに最適でないことは重々承知だ。

しかし、陽の光の下で見るクロスブルーは、ヘッドランプのグラフィックス、ミラー・ハウジング、テールライト・デザインなどいつくかの違いはあるものの、基本的にはモーターショーの会場で見たモデルと同じであり、そのままプロダクション・モデルに移行できるように見える。

そのシャシーは、2015年に登場予定の第2世代のディグアンにも使用されることになっているスティール・モノコックのMQBストラクチャーのワイド・バージョンである。全長4987mm、全幅2015mm、全高1733mmというサイズは、ティグアンに較べて562mm長く、205mm幅広く、33mm高く、トゥアレグに対しても192mm長く、70mm幅広く、10mm低いサイズだ。しかし、そのシンプルなデザインゆえに、実際にはそのサイズよりも小さく見える。シルエットは確かに四角ばっているが、バンパー・レベルで開くリア・ゲートなど、その実用性は高い。

トレッドはフロントが1686mm、リアが1696mmと言うサイズで、ホイール/タイヤは285/45R21サイズを履く。ロード・クリアランスも大きいが、このモデルは決してラフロードの走行を目的に開発されたモデルではない。」

■どんな感じ?

本革とブラック・ピアノでフィニッシュされたフェイシア、ガラスのはめ込み細工、そしてメタルのハイライトやベニアで形成されるキャビンは高級感に溢れている。ハイマウントのダッシュボード・デザインが採用され、タッチ・スクリーンもかなり高い位置にセットされている。ステアリングはフラット・ボトム・デザインで、マルチ・ファンクションを持つ。計器類は、そのドライビング・モードに応じて、レッドまたはブルーの照明に変わる。それらデザインの多くは、プロダクション・モデルに反映されるものになるだろう。

また、そのキャビン自体のサイズは非常に広く、高いシート・ポジションによって視界は極めて良い。シート、ペダル、ステアリング・ホイール、ギア・セレクターの位置関係も完璧だ。それは快適性という点からも重要なことだ。

シート・レイアウトは2-3-2の7シーターで、それぞれ細かい組み合わせが可能。2列目のシートは大きく前後にスライドが可能だ。ブート・スペースは通常で335ℓ、3列目シートを倒せば812ℓ、そして2列目シートを倒せば2000ℓの容量となる。前方の助手席を倒せば、3110mmの長尺物を積み込むことも可能となる。

スターター・ボタンをプッシュすると、ディーゼルとモーターのハイブリッド・ユニットが目覚める。計器類は最初に赤く光、すぐに青に代わる。それはハイブリッド・モードが起動したことを表している。

珍しいカタチのギア・レバーが固かったことと、電気機械式のステアリングがあまりに軽い印象だが、これはコンセプト・モデルであるので、細かい評価をしてもしようがない。また、最高速も40km/hに制限されていた。

パワーユニットは、187bhpの2.0ℓディーゼルと、フロントに54bhp、リアに114bhpのモーターという組み合わせ。その合計出力は、302bhpで、トルクは71.3kg-mになる。電気モーターは9.8kWhのリチウム・イオン・バッテリーによって駆動される。

ディーゼルからモーターへの切り替えはほとんど気づくことなく行われる。プロダクション・レベルにまでは達していないのかもしれないが、充分に合格点の与えられる仕上がりだ。また、6速のデュアル・クラッチのきびきびとした動きも印象的だった。

ブレーキはオーバーサーボだったが、これはどうにでも対処出来る部分だ。

フォルクスワーゲンはコンピュータ・シミュレーションによって、7.5秒の0-100km/h加速のタイムと、204km/hの最高速を計算している。また、モーターだけで22kmの航続距離(最高速度は120km/h)を持つという。燃費は47.7km/ℓになるということだ。

■「買い」か?

世界的に伸び盛りのSUV市場にあって、クロスブルーのプロダクション・モデルが上手くいかない理由を見つけるほうが難しいだろう。確かに、この市場には遅い参入とはなるが、フォルクスワーゲン製の7シーターSUVは大いに受け入れられるのではないだろうか。

(グレック・ケーブル)

フォルクスワーゲン・クロスブルー・コンセプト

価格 NA
最高速度 204km/h
0-96km/h加速 7.5秒
燃費 47.7km/ℓ
CO2排出量 NA
乾燥重量 NA
エンジン 直列4気筒1968ccターボ・ディーゼル + モーター
最高出力 302bhp(187bhpディーゼル + 54/114bhpモーター)
最大トルク 71.3kg-m
ギアボックス 6速デュアル・クラッチ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事