【詳細データテスト】 フォード・クーガ モーター制御に経験不足が明らか スポーツサスの乗り心地にも不満あり

公開 : 2020.07.04 11:50

操舵/快適性 ★★★★★★★☆☆☆

クーガの幅広いモデルレンジにおいて、ハンドリングのよさを求めてグレードを選ぶなら、このプラグインハイブリッド仕様はベストな選択ではない。

だが、われわれは目の前のテスト車でしかジャッジできない。このクルマ、重量のかさむバッテリーパックはうまいことホイールベース内に低く配置されているのだが、鼻先の向きを変えた後に安定するまでに、間違いなく予想以上の時間がかかる。

問題はあるが、SUVとしては上出来の走りをみせる。だが、フォーカス譲りのシャシーにはもっと高い完成度を期待していただけに、満足のいくレベルではなかった。
問題はあるが、SUVとしては上出来の走りをみせる。だが、フォーカス譲りのシャシーにはもっと高い完成度を期待していただけに、満足のいくレベルではなかった。    The Ford Motor Company

路面状況が悪いと、ショックの吸収にありがたくない硬さがみられるが、これはSTライン仕様のサスペンションによって悪化しているようだ。

それも高速道路に入るといくらか和らぎ、すばらしく安楽に外乱なくクルーズできる。ただし、それはサスペンションがわずらわされずに済んでいる間のことだけ。舗装が荒れてくると、フォードとしては大きめのふわつきや突き上げが頻繁に感じられるようになる。

さらに走らせていくと、またわかることがある。ギア比の速い、ちょっとゴムっぽい感触のあるステアリングは、フォーカスではじつに調子よく機能していた。

しかしそれが、背が高く重いクーガでは、とりたてて有効に再現できているとはいえない。重量の足かせがあるクルマとは、マッチしていないのだ。

ステアリングの切りはじめのレスポンスが過敏なのも、その一因に挙げられる。そのため、車線の中央を完璧にキープするのが難しい。

とはいったものの、それらの問題はささいなことだ。このプラグインハイブリッドでさえ、コーナーを3つも駆け抜ければ3代目クーガのよくできた、直観的で地味に満足させてくれるハンドリングの片鱗に気づかされる。

その特性は、マツダCX-5のような、このクラスでもレベルの高いモデルが持ち合わせている類のものだ。たとえば、3速で走れるコーナーなら、今回の前輪駆動のテスト車は、ほとんどのクロスオーバーSUVを凌駕するバランスと身のこなしを見せつける。

ただ、クーガPHEVの総合的な運動性能が期待されたような、問題のない、冴えたものではなかったことは残念に思える。そのメカニズムなら、クラス水準を超える能力を備えるSUVになれたはずなのだ。

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