【勝負のわかれ目】ホンダCR-Vとトヨタ・ハリアー 大差のワケ 売れるSUVの条件は?
公開 : 2020.07.02 05:50 更新 : 2021.10.22 10:15
勝敗 ターゲットにする市場の影響も
ハリアーとCR-Vの違いには、ターゲットにする市場も影響した。
CR-Vは1位が北米、2位は中国、3位はカナダ、そのほかアジア地域を対象に開発され、現行型の発売時点で「1年間の販売台数は約70万台」と説明された。
国内販売計画は前述の1か月当たり1200台/1年間なら1万4400台だから、計画通りに売れても国内比率は販売総数の2%だ。
その点で先代ハリアーは、開発段階では国内専売と考えていた。それまでのハリアーはレクサスRXの日本版だったが、2005年に国内でもレクサスが開業して海外と同じRXを売るようになり、トヨペット店の意向も汲んで先代ハリアーを日本向けに独立させたからだ。
ハリアーは日本のユーザー、CR-Vは海外を向いて開発されたので、共感の得られ方も大きく変わった。
このほか販売力とブランドイメージの違いもある。
今のトヨタでは全店が全車を扱うが、以前のハリアーはトヨペット店の専売だ。アルファードと並ぶ高価格車でもあり、トヨペット店が力を入れて売った。歴代モデルから乗り替えるユーザーも多い。
対するCR-Vのホンダは、2019年度(2019年4月から2020年3月)の販売状況を見ると、国内で売られた新車の36%をNボックスが占める。
軽自動車合計では50%を上まわり、そこにコンパクトなフィット+フリード+ヴェゼルを加えると、ホンダ車全体の80%を超える。
今のホンダは「軽自動車とコンパクトカーのメーカー」だから、CR-V、オデッセイ、アコードなどはブランドイメージが合致しない。
しかもCR-Vは一時国内販売を中断していたから、従来型から乗り替えるユーザーも少ない。
また軽自動車やコンパクトカーが大量に売られると、CR-Vは販売力を奪われる。
つまりCR-Vの販売低迷は、今の小さなクルマに偏ったホンダの国内事情を象徴しているわけだ。