【なぜ】ジャガー・ランドローバー、ディーゼルに継続投資 クリーンなPHEVをめざす方向か
公開 : 2020.07.17 16:50
英ジャガー・ランドローバーは、ディーゼルの開発を継続することを明らかにしました。一体、なぜなのでしょう? 他メーカーと異なる方向性の背景には、PHEVで活用すべきだという考えがあるようです。
ディーゼル技術に継続投資
ジャガー・ランドローバー(JLR)は、ラインナップの電動化を推進するため、引き続きディーゼル技術に投資することを明らかにした。
プロダクト・エンジニアリングのトップ、ニック・ロジャースは、「(パンデミックを経験した)カスタマーは、これまで以上にクリーンで安全で、かつ効率的なクルマを求めるようになるでしょう」
「電動化はもちろん、効率的であることも重要となってくるでしょう」と述べている。
「わたし達は、よりクリーンなディーゼルと、よりクリーンなガソリンは、今後も有効な輸送手段となると信じています」
ロジャースは、パンデミックの最中に起こった原油価格の急落について言及し「クリーンディーゼル、クリーンガソリン、BEV(バッテリー式電動自動車)、PHEVへの投資を続け、多様性を提供します」
「ディーゼルとガソリンは、多くの人々にとって、依然として主要なエネルギーです。これらを効率的に活用すべきだと考えます」と付け加えた。
一方、ほかのメーカーは、内燃エンジン車を廃止する方針を明らかにしている。
ポルシェは最近、すべてのディーゼル・パワートレインをラインナップから削除。その親会社であるフォルクスワーゲンは、2026年に開発を始めるクルマが最後の内燃エンジン車になるようだ。
しかし、ロジャーズは、ディーゼルのパワートレインを、より環境に配慮したものにできれば、まだ需要はあると語っている。
「これをPHEVと組み合わせることができれば、都市での使用でも、クリーンで静かなモデルを提供することが可能となります」
水素燃料電池自動車の開発も
現在、JLRは、レンジローバー、イヴォーク、ディスカバリー・スポーツの、3つのプラグイン・ハイブリッドモデルを提供している。
今日のディーゼル・モデルの多くは、マイルドハイブリッドを採用しているが、プラグインのディーゼル・パワートレインを現在提供しているのはメルセデスくらいだ。
同社のC 300 deおよびE 300 deは、2.0L 4気筒ディーゼルと13.5kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、EV走行のみで48~55kmの航続距離を実現する。
新しく発売されたGLE 350 deは、31.2kWhのバッテリーパックを搭載し、航続距離は99kmまで延ばしている。
JLRは、また、モビリティサービスのプロバイダーを目指し、その計画を進めている。
ロジャースは、パワートレインのさらなる効率化に加え、リサイクル材の採用、キャビン内の空気の質の改善、キーレスエントリーなどのアシスト機能を含む、ドライバーの「認知的負荷」の軽減に取り組んでいると述べている。
さらに同社は、デルタ・モータースポーツ、マレリ・オートモーティブ・システムズ、UKBICと提携し、水素パワートレインを開発している。
イギリス政府が支援する、先端推進システム技術センター(APC)からの資金提供を受け、JLRは燃料電池プレミアムSUVのプロトタイプの開発に取り組んでいる。
コードネームZeusと呼ばれるこのモデルは、長い航続距離、短い充電時間、オフロード性能、および大きな牽引能力を提供すると言われている。
画像 レンジローバー・イヴォーク、BMW 320d、アルファ・ロメオ・ステルヴィオ【ディーゼル・ライバル比較】 全108枚