【見た目に惑わされないで!】見た目と走りにギャップがあるクルマたち よくもわるくも
公開 : 2020.07.11 08:50 更新 : 2020.11.10 17:58
エンジンをかけると気分が下がる
運転には向かない英国車
子供のころからランドローバーの見た目が大好きだった。大人になってからシリーズ2を買い、それ以降のすべての世代に乗ってきた。
ただし、ジャングルの中でもない限り、どれも運転には不向きだ。
高級車の中で酷かったのはジャガーXJ220。
V6エンジンは退屈で、ブレーキ性能も悪く、クルマの動きが全く感じられない点も好きではなかった。
同じ日にXJ220とフェラーリF40の両方を運転したことがある。
フェラーリは速くて運転に集中でき、クルマの限界を感じやすかった。
一方、ジャガーは限界点がどこにあるのか分かりづらく、カーブを猛スピードで駆け抜けたとき、危うくクラッシュしそうになった。
冴えない実力派
非常に高いシャシー技術を持つチームによって作られたMG ZS 180。
ホンダ製サスペンションに取り付けられたブッシュ、スプリング、ダンパーを丁寧にチューニングすることで、冴えない見た目のローバー45サルーンがダイナミックなスポーツカーに生まれ変わった。
そこにローバー製KV6エンジンを搭載することで、その走りを確固たるものとした。
このエンジニアチームは、ローバー200と75にも同様のチューニングを施し、ZRやZTを生み出した。
この2台は決して悪くはなかったが、スタイリングに魅力はなく、ZSのような走りも期待できなかった。
そのスタイルにお金を出せるか
個性的過ぎて
プジョー205 GTiはヒーローの地位を獲得したが、そのプラットフォームとパワートレインを共有したシトロエン・ヴィザGTiは真逆の存在といえる。
2CVやアミなど、シトロエンには個性豊かなモデルが多い。しかし、ヴィザのデザインはいただけない。
走行性能は205 GTiよりも優れていただけに残念。
私は205 GTiを所有していたことがあるが、同じ金額をヴィザGTiに払うかと聞かれれば、答えはノーだ。
なぜそうなった?
メルセデス・ベンツは、岩のようにしっかりしていて味のあるW124 Eクラスを提供してくれたが、その後、完全にビジョンを失い、W210に置き換えられた。
品質は欠落し、デザインは錆びついて、ヘッドライトも大変なことになってしまった。
メルセデスの歴史をさかのぼってみると、これとは逆に見た目が良くても中身の伴わないクルマが見つかる。
1950年代の190SLは、300SLにも似た愛らしいモデルだが、その走りはまるで使い古されたタクシーのようだった。
目をつぶって運転したい
ポルシェは長い歴史の中で、性能は素晴らしくても、美しさに劣るモデルを数多く量産してきた。
例えば914、具体的には914/6だ。フォルクスワーゲンとの共同プロジェクトで生まれたこのクルマは、決して魅力的とは言えないが、運転していて楽しいクルマだった。
最近でいうと、初代パナメーラが思い浮かぶ。
グッドウッドで開催されたオートカー・ハンドリング・デイに参加したことはよく覚えている。私はパナメーラのハンドルを握り、ジャガーXFRに乗る同僚を追いかけていた。
300psのパナメーラに対しXFRは500ps。私よりもはるかに速かったのだが、私は何度も何度も彼のリアバンパーに肉薄した。
パナメーラはカイエンと同じようにダイナミズムに優れている。しかし、スタイリングもカイエンと同じく、美しさからは程遠い。
見た目と走り、どちらを優先するか
スタイルに恵まれなくても、偉大な旅の王者として君臨しているのは、今日のホンダ・シビック・タイプRだ。
ただしそれは、あなたの優先順位次第である。
私が若かった頃、道路はより開放的で、スピードカメラも存在しなかったので、クルマがどのように走るかは見た目よりも重要だった。
今では反対側に立っている。そうは言っても、大抵の人は見た目通りに走るクルマが欲しいのだ。
画像 ホンダ・シビック、シビック・タイプR、BMW Z8、アルファ・ロメオ・ブレラ、ポルシェ・パナメーラ【見た目に惑わされないで】 全55枚