【クルマの中から観る映画】ドライブインシアター、なぜ世界各地で連日の超満員? 日本も1台1万円が3分で完売
公開 : 2020.07.05 05:50 更新 : 2022.03.25 18:51
クルマに乗ったままラジオから音声を聴き、広い場所に設置された巨大なスクリーンで映画を観る。ドライブインシアターがコロナ禍以降、欧米を中心に復活、各地で大人気に。海外事情を探り、日本の歴史/現状をお届けします。
世界的にドライブインシアターが人気
クルマに乗ったまま、FMラジオから音声を聴き、広い場所に設置された巨大なスクリーンで映画を観る……。
ドライブインシアターがコロナ禍以降、欧米を中心に復活し各地で大人気となっている。
まずはドライブインシアター始まりの地。アメリカの様子をお伝えしよう。
アメリカにおけるドライブインシアターは1933年にニュージャージー州で設立されたPark-In Theaters Inc.がその始まりとされている。
50~60年代の全盛期には全米で約5000ものドライブインシアターが営業していたが、近年は約1割以下の300前後にまで縮小してしまった。
そして、コロナ禍で映画館に対する営業休止命令が出され、全米で約4万のスクリーンが休止に追い込まれる中、ドライブインシアターで映画を楽しむ人たちが急増している。
ニューヨーク近郊でドライブインシアターとレストランを経営する男性はこうコメントしてくれた。
「人々は家から出たがっています。クルマで出かけて家族だけで楽しめるドライブインシアターなら安全なのです」
「今回初めてドライブインシアターに来た人も少なくない。家のテレビで見る映画とは明らかに違う楽しみが得られているのだろう」
ちなみに、この原稿を書いている7月1日、カリフォルニア州は飲食店など特定の業種について、南部を中心に19のカウンティ(郡)で再びクローズされることになった。
6月に再開されていた映画館もこれで再び閉鎖。ドライブインシアターの人気がまた高まりそうだ。
イランではイスラム革命後、初めて
新型コロナウイルスの感染が中東でいち早く拡大したイランでは長い間禁止されていたドライブインシアターが5月上旬に再開された。
1979年のイスラム革命以来のことで、なんと41年ぶり。
最初に上映されたのはエブラヒム・ハタミキアの新作映画「エクソダス」で、毎晩多くのクルマがドライブインシアターに列を作っている。
入場時、並んでいるクルマには消毒剤が噴射され、感染拡大の防止策が厳正に行われている。
ドイツにある常設のドライブインシアター、「オートキノ・エッセン」(Autokino Essen)でも連日、チケット完売の盛況となっている。
ドイツでは3月上旬から通常の映画館が閉鎖となっているが、ドライブインシアターでの鑑賞は許可されている。
2020年4月以降は公園や駐車場を利用しての臨時ドライブインシアターがドイツ全土で30以上開業し、既存の施設と合わせると50以上がオープンしている。
映画だけではなくドライブインレイブパーティも開催され、クルマから降りないことを条件に参加者がクラクションを鳴らすなどして熱狂しているそうだ。
カンヌ映画祭が72年ぶりにキャンセルとなったフランスでもパームビーチの駐車場などカンヌ市内には数か所のドライブインシアターが設置された他、ワインの産地で有名なボルドーではドライブインフェスティバルも開催されている。
クルマがない歩行者でもクルマを借りて参加できるのがユニークだ。
この他、お隣の韓国では20か所の常設ドライブインシアターのほか、各自治体主催で無料の臨時ドライブインシアターを開業させている。