【クルマの中から観る映画】ドライブインシアター、なぜ世界各地で連日の超満員? 日本も1台1万円が3分で完売
公開 : 2020.07.05 05:50 更新 : 2022.03.25 18:51
日本、船橋で始まり大磯で幕 現在は
日本で最初のドライブインシアターは1962年に設置されたという記録があるが、現在と同様のスタイルでの鑑賞が始まったのは1981年、船橋ららぽーとの駐車場に設置されたドライブインシアターからである。
そして、2010年10月、最後に1か所だけ残っていた大磯プリンスホテル駐車場での上映で幕を閉じている。
それから約10年。コロナ禍によって全国各地でドライブインシアターが復活し、盛況となっている様子は以前AUTOCARでお伝えした。
その中の1つ、6月20日に開催された「ドライブインシアター2020 東京タワー」(主催:Do it Theater株式会社ハッチ)の取材に出かけてみた。
東京タワーの駐車場で開催されたドライブインシアターである。
上映されたのは「スパイダーマン:スパイダーバース」で、会場は満員御礼。事前にオンラインでチケット(1台1万円ボックスコンセ~スナック/ドリンク/マスク/消毒液入り、デジタルしおり込み)を購入していた42台が参加した。
なお、開催1週間前に発売となったチケットは、開始からわずか3分で完売となったとのこと。
主催者であるDo it Theater伊藤大地氏はこうコメントする。
「以前から予告されていた通り、前日の6月19日から都道府県をまたいでの移動がOKになったのがタイミング的にもよかったと感じています」
「来場いただいた方は東京が7〜8割、埼玉/神奈川/千葉からの参加が1〜2割といったところでした」
なぜ世界的人気となったのか?
確かにドライブインシアターは「密」をほぼ完ぺきに避けることができる。
映画館の座席にあたる部分が個々の車両のシートとなり、クルマじたいが個室という環境になるので、ソーシャルディスタンスを十分に取ることができる。
また、シアターへの移動もそれぞれがクルマで入ってきて、クルマで帰っていくため、移動に関しても他の参加者と接することがない。
世界各地で臨時に開催されているドライブインシアターの様子を見ると、入場時の検温やマスク着用はマストで、車外に出るのはトイレに限るなどの条件付きだ。
6月20日に東京タワーで開催されたドライブインシアターの場合、乗車定員分までは1台に何人で乗って来ても良いが、「同伴者は、チケット購入者と同居している方に限る」とされていた。
日本よりもはるかに厳しい「ロックダウン」という体制の中、ドライブインシアターでの映画鑑賞は、家の外に出て許可された唯一の娯楽と言ってもいいだろう。
ドイツのとあるドライブインシアター経営者は「どんな映画を上映するかはあまり問題ではない。人々はクルマで外に出て映画を見られればそれでいいのです」と述べていた。
緊張を緩和し、人々が安全な環境で映画を通して文化を享受できるドライブインシアターは、クルマを所有することのアドバンテージにも気づかせてくれている。
なお、次回、前述のDo it Theaterによる上映は大磯プリンスホテル駐車場で7月17〜19日、8月は大阪・万博会場で予定されている。