【長く乗るほど、もっと一緒にいたくなる】トヨタ・カローラ(最終回) 長期テスト
公開 : 2020.07.11 11:50 更新 : 2021.01.28 16:58
運転の容易さと心地良さが弱みを補う
カローラ・スポーツは、運転の容易さと心地良さで、インテリアの不満を補っていた。軽快なステアリングに優れた操縦性。サスペンションも、ほとんどの路面で快適な乗り心地を保ってくれた。
英国でも、当初からガソリンエンジンのハイブリッドが選べた。選んだ排気量は、日本未導入の2.0L。システム総合での最高出力は、180psだ。
トヨタはハイブリットの経験が長い。システムはとても静かで、パワーデリバリーは基本的にスムーズ。ガソリンエンジンと電気モーターの引き継ぎも、シームレスだ。
CVTの振る舞いは好きになれず、エンジンも時々荒々しく回ることがあった。それでもパワートレインは、現実世界のあらゆる場面に見事に順応できている。
少し気を使った運転をすれば、英国の交通環境でも17.7km/Lを超える燃費が得られた。プラグイン・ハイブリッドと比べれば見劣りするものの、充電を気にする必要はない。
トヨタ・カローラ・スポーツは、ダイナミックなモデルではない。気持ちが高まるというより、落ち着いた気分にしてくれる。AUTOCARの英国編集部にも好まれた、理由の1つだと思う。
荷室は広いとはいえない。2.0Lのハイブリッドの場合は、バッテリーがエンジンルームへ収まらず、荷室下に搭載されるため。1.8Lのハイブリッドの方が広い。
一番残念だったのが、インフォテインメント・システム。デザインや操作性が悪いだけでなく、アップル・カープレイにも非対応だった。
自分で購入するならフォーカスよりカローラ
その不満を解決しているのが、新しいツーリング・スポーツのトレック(カローラ・クロス)。まず、改良を受けたトヨタ製の最新インフォテインメント・システムを備え、アップル・カープレイに対応している。
旧バージョンのカローラ・スポーツでも、英国ではシステムのアップグレードが可能だという。インテリアの雰囲気を良くする、トリムパーツもあしらわれている。
ハッチバックで狭く感じられた荷室は、ステーションワゴンのツーリングなら、もちろん充分に広い。バーナストン工場の従業員にも人気だそうだ。
筆者はカローラ・スポーツをとても気に入っている。それでは英国編集部が選ぶ、ファミリー・ハッチバックのベスト、フォード・フォーカスの好敵手といえるのだろうか。
即答は難しいが、面白い比較にはなる。フォード・フォーカスは間違いなく運動性能に優れ、運転する楽しみや充足感は大きい。でも、どこまで気にするかは、人によって異なる。もし筆者が自分で購入するなら、カローラ・スポーツを選ぶだろう。
運転する興奮は得られなくても、カローラの持つ多角的な能力は、それを補ってあまりある。とても快適で、いつまでも所有していたいと感じさせる。長くいるほど、もっと一緒にいたくなる。
数世代前のトヨタ・カローラを、大切に乗っているオーナーもいると思う。新しいカローラへ乗り換えるタイミングが、やって来たようだ。