ゼノス・カーズ、順調に開発が進む
公開 : 2013.10.03 20:00 更新 : 2017.06.01 02:15
現在のクルマ造りは、法律に縛られると共に技術的にもかなり複雑になってきているが、果たして現代のメーカーにとって、使い古された「シンプルで軽量」というコーリン・チャプマンのフィロソフィーを貫き通すことが可能なのだろうか。少なくとも、前ケータハムのCEO、アンサー・アリと、COO、マーク・エドワーズはそれが可能だと考えている。
ゼノス・カーズという新しいメーカーを立ち上げた彼らは、小型でシンプルなスポーツカーを製作する予定だ。
彼らの計画では今後5年間で3つのモデルを市場に投入する計画である。
最初にリリースされるのは、プロジェクトE10と呼ばれるモデルで、来年のデビューが予定されている。ロータス・エリーゼと同じように一般公道を走ることができるモデルだが、よりサーキット走行に焦点を絞ったステップイン2シーターだという。ミドに横置きされたエンジンによる後輪駆動モデルで、パワーは200bhp、重量は650kgだという。
通常からすれば、一気に3台のモデルをリリースするという新興メーカーの話については懐疑的になるところだ。しかし、2人の元ケータハムの役員は、ニッチな市場についてよく知っている人物でもある。
「市場は大きく変わっている。一般的にクルマはより重く、より高価で、より複雑になっていっているが、それは逆にわれわれにとってのチャンスでもあるのだ。われわれは特定のエンスージァストに、刺激的なクルマを届ける用意ができている。」とアリは語っている。
アリとエドワーズは、新しいスポーツカーに若干の最先端技術を採用する予定だ。カーボンファイバー・コンポジット・タブとアルミニウムのバックボーンを中心に設計される。このストラクチャーは重さを抑えるだけでなく、高い捻れ剛性を持つ。
「通常のカーボンファイバーを使用することは、すなわち高価になることと直結する。そこで、われわれはリサイクルされたカーボンファイバーを使用することにした。連続性のある繊維ではないが、それでもオリジナルのカーボンファイバーの特性の60〜70%は保持される。そして、ハニカム・ストラクチャーを2枚のカーボンファイバー・スキンでサンドウィッチする構造を特徴とする。これによって、非常に軽く、堅く、しかも安価で、高級なモデルに使われるカーボンファイバー・テクノロジーと同じ技術水準を手にすることができるのだ。」
彼らの将来的な展望に期待するニッチ・ビークル・ネットワークは、財政的補助を行うことを決定している。
エドワーズは彼らの技術が最先端であるとは言っていない。
「われわれもカーボンタブを採用したいと思ったが、結局はそれを見送った。われわれは市場が何を求めているかを知っている。安価なカーボンファイバーのサンドウィッチ構造で、モデリングで目標とした剛性などの数値を上回っていることがわかったので、それを採用しただけだ。」
プロジェクトE10はノーフォークにあるゼノスのヘッドクォーターで開発中だ。シャシーはエンジニアリング会社であるマルチマチックが協力し、パワートレインはフォードから供給される。この他、エイボン、OZ、タイタン、ビルシュタイン、アルコンなどがパーツを供給することとなっている。
価格は既に決定しているようだが、その件に関しては堅く口を閉ざしたままだ。
「どんなクルマを市場が望んでいて、それが幾らぐらいが妥当であるかは明白だ。」とエドワーズ。
2016年にはE10をベースにしたロードスターが、そして2018年にはクーペが発表される予定だ。