【詳細データテスト】 BMW 3シリーズ PHEVばなれしたハンドリング ランフラットタイヤが玉にキズ
公開 : 2020.07.12 08:50
操舵/快適性 ★★★★★★★★☆☆
シャシーの仕様選びに関して、現行3シリーズのラインナップには迷路のように困惑させるところがある。たとえば330eでは、パッシブのMスポーツサスペンションがオプションリストにも見つけられない。もっとも、これは330iや330dでも同様だ。
そのうえ、330eのタイヤは、1グレードを除いてランフラットだけ。テストしたMスポーツプラスパッケージ装着車は、19インチホイールとアダプティブサスペンション、可変ギア比スポーツステアリングが追加される。それでも、330iや330dに用意される、ランフラットではないパフォーマンスタイヤを選ぶことはできない。
330eでランフラットでないタイヤが装着されるのは、エントリーグレードのSEプロのみ。これに標準装備されるのは17インチで、パンク修理剤がついてくる。
ただし、330eの購入を検討したとき、そのややこしい仕様設定にあまり悩まされなくて済むのは、朗報といっていいのかもしれない。テスト車の乗り心地には、路面からの入力の遮断にわずかながら粗さがみられ、セカンダリーライドには気に障るところがある。完璧になめらかな舗装でなければ、タイトさがソワソワする動きを感じさせてしまうのだ。
このことから、重量がかさむプラグイン仕様の3シリーズでは、Mスポーツ系を選ばないほうがいいと思われる。とくに、上位グレードのMスポーツプラスは避けたい。
しかしながら、たいがいの道路で、ほとんどの場合、テスト車は3シリーズに期待される走りっぷりを示してくれた。ステアリングはシャープで、ハンドリングのバランスには思わず引き込まれる。ボディコントロールのタイトさはなかなかのもので、洗練性はじつに立派なものだった。
それでも、330eは装備を省いたグレードの方がむしろ有意義で、それは昔ながらの、3シリーズ・セダンの下位グレードのようだ。
たしかに今回のテスト車は、ロールのコントロールに優れ、ステアリングは鋭く、本質的にバランスがいい。俊敏で、走りに熱中でき、注目に値するクルマだ。
しかし、このレベルのトルクなら、駆動輪のタイヤ接地面がもう少し小さければ、より魅力的でアジャストしやすいハンドリングになるだろう。乗り心地に関しても、ホイールサイズを下げてサイドウォールの厚みが増えれば、改善がみられるに違いない。